えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『魔法戦隊マジレンジャー』

いよいよ最終クールとなって冥府十神という圧倒的な強さを見せつける敵のボス集団が現れ、マジレンジャーと戦いを繰り広げている。ここで私が関心するのは「冥府神」の見せ方である。幼児向け番組であるから、あまり難しいストーリーを用意することはできないし、番組としての定型パターンを守りヒーローもののカタルシスを確保するために どれだけ敵を強く設定したかろうと最低2話に1体は敵は倒されていかなくてはいけない。少年漫画のように1人の敵を倒すのに10週も20週もかけてられないのである。それなのにこの冥府神たちは「結局は毎回やられる雑魚」とはならずに10神のうち4体が倒された今でもラスボスとしてのステイタス(=とにかくコイツら強そー)を保ち続けているのである。


一つには10体の怪人のデザイン・造型がどれも素晴らしいということもあるが、もちろんそれだけではなく、さまざまな演出によってそのステイタスは保たれている。


例えば戦隊ものの敵と言えば、最初は人間大で登場し、ヒーローに追い詰められてから最後のあがきで巨大化するというのが定型パターンである。こうやってヒーローとロボットの両方の活躍の場を用意するのは、戦隊人形と巨大ロボ玩具という両方の商材の宣伝をするためにできあがった崩すことの出来ないフォーマットだ。だけどこの冥府神たちは元々の大きさが巨人サイズであり、そこからあえて小さくなって主人公たちの前に現れているのだということを毎回キッチリ見せている(最後にやっぱり巨大化する)。単純なようだけど、子供にとって「強い=大きい」というのはかなり支配的な要素だけに、これはとても大きな効果が得ていると思う。子供向けなのだから単純な法則こそをしっかりと押さえることが大切なのだ。小難しい理屈(言い訳)などが通用しない分、その演出は大人向け作品よりもシビアなのだ。


もちろんこれだけではなく、冥府神たちのあくまで不遜なキャラクターだったり、彼らの権威づけのためだけに丸々1週とってたりと、まぁいろいろと他にも要素はあるのだけれど、とにかく2週に1体のペースで消費しながらこれだけラスボスとしての権威を保っているのはお見事だと感心している。


こんな風に集団ラスボスの権威が保たれているのは『リングにかけろ』の「ギリシャ十二神」以来かもしんない。