えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『ポップコーンラブ!』

ケロッグ ポップコーングラノラのCMにモーニング娘。OGの高橋愛道重さゆみ田中れいなが出演し、モーニング娘。の曲が使用されると聞いて、一部の古参モーヲタは「じゃあ『ポップコーンラブ!』だな!」と盛り上がりましたが、普通に『LOVEマシーン』でした。そりゃそうだよw

 

 

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そんな一部古参だけで話題になっている『ポップコーンラブ!』ですが、どのような立ち位置の曲であったか少しだけ紹介しましょう。元々この曲は2000年12月に放送開始されたテレビ東京の音楽バラエティ番組『MUSIX!』のテーマソングとして発表されたものでした。この番組はモーニング娘。とキャイ~ンがメインMCを務め、裕ちゃんが在籍していた10人時代の娘。とキャイ~ンの2人がこの曲に乗って踊るOPも何度か放送されたハズです(すぐになくなりましたが)。しかし発表からしばらくは音源化されることはなく、正式に音源化されたのは2001年10月にリリースされた『Mr.Moonlight 〜愛のビッグバンド〜』のカップリングとしてで、ボーカルは5期メンバーの4人が加入した直後の新規レコーディングとなります。

 

そして実は個人的にはメンバーの声の特性に合わせた歌割りが娘。オールタイムベスト級にハマった一曲だと思っているんですよ。

 

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ファンの方のOPV でアレですが

 

“『Mr.Moonlight 〜愛のビッグバンド〜』のカップリング曲”というのもそれを強く意識させたポイントで、なんせ『ミスムン』は13人中3人しかメインボーカルを歌っておらず、5期メンを含めた他のメンバーがコーラスでしか参加していないのです。それまでも初期にはボーカルの偏りはあったとは言え、『LOVEマシーン』以降の黄金期は全員ボーカルで売って来た印象が強かったものですから、この3人ボーカルの『ミスムン』を聴いた時には「一挙に4人が加入してさすがに13人という大人数に合わせた歌割りを采配するのはつんく♂でも難しかったか?」と心配になったものでした。そんなタイミングだっただけに、残り10人のボーカルが適材適所でバッチリ生かされたこの『ポップコーンラブ!』の歌割りを聴いた時にはホッと胸を撫でおろしたのでした。

 

特にまだ不安定で低い/弱い新垣・紺野を不安な乙女心を歌うBメロに配置して、その不安定さすら生かしているのはお見事。さらにそこからサビに向けてテンションを上げるのに加護ちゃんの声の華を全面的に信頼して配置してるあたり最高ですわ。

 

 

機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争

 

OVA作品である『機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争』が24時間限定でYouTubeガンダムチャンネルで無料配信されていますね。

 

 

---<以降結末のネタバレを含みます>---

 

 

この作品の中ではこれまでのアニメ作品では例を見ないほど登場人物たちに多くの嘘をつかせています。もともとアニメという表現には「本来は動かない絵を動いているように見せる」という嘘が根源的に含まれているため、さらにその上で「嘘をついた」ことを表現するのは、作画的にも演技的にも難易度は高い。そこにあえて挑んでいるのには、もちろん作劇上の意味があります。

(ちなみにEDの歌い出しは「嘘をついた夜には~」であることからも、嘘がテーマの主題に据えられていることが見て取れます)

 

 

■アルの嘘

小学生のアルは警察を動かすためであったり、連邦兵士の目を誤魔化すために度々嘘をつきます。またクリスに対してもバーニィが義理のお兄さんであると紹介するなど嘘をついています。現実的な力を持たない子供のアルにとっては嘘をついて周囲を操作することは唯一行使できる力なのです。


■隊長の嘘

サイクロプス隊の隊長はどうでしょう? 隊長は潜入任務に際して入国管理局では哀れな町工場の社長を演じ、アルに対しては人の良い上司のフリを演じて盗聴器を仕掛けます。それはもう見事に。彼にとっては「任務」こそが優先すべきもので、そのためには自身のプライドや倫理などは取るに足らないものだからです。


バーニィの嘘

ではバーニィは? バーニィがアルに対して叩く、「あと1機でエースだった」とか「ガンダムだって楽勝!」といった類の大口は、「役立たずの新兵」という部隊での自分の現状に対する鬱屈の裏返しであり、何の効果も生み出さない逃避と虚栄です。それは端から見ていて語るそばからボロが出るような拙いものでした。


■嘘をつかない人物

ここで勘の良い人は気づいたでしょうが、この話の主要人物においてただ一人 嘘をつかない人物がいます。クリスです。彼女は「軍人なの?」と聞かれて「データを取る仕事よ。銃を持って戦うわけじゃない」と答えていますし、ガンダムでの戦闘後の警察からの事情聴取で機密に関する質問を受けて「お答えできません」を連呼しますが、決して嘘はつかない。小学生のアルから「どうして戦うの?」と難しい質問をされても、適当に誤魔化すことなく、真摯に言葉を尽くして答えています。彼女はお隣に住む優しいお姉さんであり、気弱な青年に好意を抱いて接してくれる魅力的な女性であり、しかもなんとガンダムパイロットです。 そう、つまり彼女は存在そのものが「男性の願望」という嘘なのです。

 

 

アル、バーニィ、隊長の三者はもちろん少年・青年・壮年の対比であり、どの段階になっても男は完全たり得ず、それぞれの立場から嘘をつかねばならない。存在そのものが嘘であるが故に自らは嘘をつく必要がないクリス(女性)との対比からそのことが鮮やかに描かれています。

 

 

■物語は後半へ

そして第5話「嘘だと言ってよ、バーニィ」において、ガンダムを倒さないと町が核攻撃される」という終局へ向けたお膳立てが完成します。バーニィにとっては仲間がみな死亡し、残されたのは自分だけ。かつての逃避を状況が許さなくなった時、彼は「ガンダムだって倒せる」という自らついた嘘を現実のものにしようと決意します。


そして「楽勝!」といつかと同じ嘘をバーニィはアルに語ります。しかしそれはかつての大口ではなく、自分が死ぬことを半ば悟ったバーニィによるアルを気遣う優しさでした。今際の際の隊長に対する「ガンダムはミーシャが破壊した」という嘘も同様に他人のための嘘です(そしてこの時に「嘘が下手だな」と指摘され、アルに対してより上手く嘘をついている)

 

そしてラストシーンにおいてアルも地球への赴任を告げるクリスに「バーニィも淋しがるよ」という嘘をつきます。これまで自分のためだけに嘘をついていたアル少年が、バーニィを殺してしまった当の本人を思いやって嘘をつくのです。

 

それぞれのキャラクターが嘘をつく理由については前述しましたが、この通り終盤においてそれがそれぞれ変質しているのがわかりますね。キャラクターたちに同じく嘘をつかせながら、嘘をつく理由の変質を描くことによって、それぞれの心情の変化や成長を浮き彫りにしているのです。しかしそれが成長とは言え、これまで自分のためだけに嘘をついてきたアルが、バーニィを殺した当の相手を気遣って嘘をつく場面はあまりにも切なく胸に刺さります。

Juice=Juice・つばき合同オーディション開催について

私がJuice= Juiceの増員に関してまず思ったのは、「初代リーダーと絶対的エースは卒業したけど、まだオリジナルメンバーも残っている」という状況が、2003~2004年頃のモーニング娘。の姿と重なるなーということでした。

 

歴史を俯瞰すると、オリジナルメンバーが全員卒業するまではイメージが一新されず、どうしても「移行期」・「過渡期」という評価になりがちで、そういう時期はグループの輪郭が曖昧になってしまうもの。悪いことにモーニング娘。の場合は、その期間がCD売り上げが落ち続け、メディア露出が減ってゆく時期と重なった。大ブームが反転し世間からオワコン扱いされ始めた時期で、私はそんな時代にリーダーとしてグループを支えていた飯田さんの姿に胸を痛めていたので、正直ヲタクとしてはかなり“しんどい”時期ではありましたね……。

 

Juice= Juiceもやっぱりオリメン3人が卒業するまでの間は「移行期」という位置づけになるのかもしれません。事務所もその後の期を見据えているからこその増員なんだろ
うし。

 

ただまぁJuice=Juiceの場合はそんなに悲観する必要はないのかなとも思っています。多分今なら売り上げがそこまで極端に落ちることはないだろうし、身上たるスキルの高ささえ維持すれば、落ちたとしても昔ほど気にもしないでしょう。コロナ禍という不確定要素があるならなおさら。あとリーダーの朋子さんの性格もサッパリしてるしね。

 

ともかく昔と違って「このままグループが消えてしまうのでは」という最大の不安はないでしょう。ファンもメンバーも「グループの存続」そのものは疑っておらず、「継続のための増員」という前向きな理由はクリアに見えてるんじゃないかと思います。

 

 

それに対してつばきファクトリーは、直前の欠員がイレギュラーな形だったためにどうしてもそこまで前向きには思えないというか、「とりあえず補完」的な印象になってしまいがちなんですよね。

 

だからこそ事務所としてはそこを「Juice= Juiceとの合同オーディション」という形にしたことで目先をズラして緩和させたんじゃないかなぁと。だって合同ったって、本人の意向と真逆のグループに入れるってことはしないと思うんですよね。実態としては通常のオーディションと変わらなくても「初めての取り組み!」と押し出せるのは上手い手だと思います。オーディションの費用も半分に抑えられそうですし。

 

なんにせよ、増員せずに固定メンバーで続けていつか解散となるか、人員を入れ替えて存続させるか。メンバー本人、およびそのファンにとって、どちらがより幸せな選択なのかは、直接比較ができない以上、永遠に答えが出ない問いです。


でも少なくとも私は、解散した℃-uteこぶしファクトリーを応援し続けたヲタクが「不幸だ」なんて微塵も思ってはいませんけどね。

 

ハロプロ楽曲大賞2020

■楽曲部門

1位:『ビタミンME』BEYOOOOONDS

明日をも知れず鬱々とした自粛期間にこの曲に本当に元気をもらいました。みいみー! しかし野菜ジュースとのタイアップで曲中にビタミンの必要性について突然語り出すとか、普通だったらタイアップ臭が強すぎてアイドルソングとして一番鼻白む要素のはずなのに、当然のように自然にマッチし、むしろこれがあってこそと思わせちゃうBEYOOOOONDSって・・・(汗) BEYOOOOONDSという概念の柔軟性と拡張性すげーな。

 

2位:『Va-Va-Boom』 Juice=Juice

強さよりもしたたかさ。余裕すら感じさせる女性上位世界!

 

3位:『LOVEペディア』モーニング娘。

フレッシュな15期加入を寿ぐのに相応しい楽曲。やっぱりグループの情勢と重なる曲は思い入れも強くなる。

 

4位:『アラビアン・ラプソティ』BEYOOOOONDS

 

4位:『ミラー・ミラー』アンジュルム

 

■楽曲部門

1位:『ビタミンME』BEYOOOOONDS

北野篤さんチームによる作り込み。このMVにはBEYOOOOONDSの魅力が詰まってるんだぞい! “眼鏡ユニバース”のメンバーとの再会も嬉しかったなぁ。

 

2位:『ミラー・ミラー』アンジュルム

クール系アンジュルムの真骨頂。フリーダンスの素材の生かし方がオサレ

 

3位:『LOVEペディア』モーニング娘。

 

YouTube部門

1位:ポップ!ステップ!全音符!!ツアー初日は配信スペシャル!

あの時は嬉しかったなぁ・・・

 

2位:島倉りか「スローモーション」カバー 

昭和歌謡なら誰にも負けねぇ!

 

3位:BEYOOOOONDS《MV鑑賞会》ビタミンME 

楽しい!

 

4位:【お家でもびよんず学校#16】4月28日 岡村美波先生

みいみお姉さんの読み聞かせ。英語の発音が海外のファンにも好評。

 

5位:【邪神ちゃんドロップキック】OGからも新入部員が♪みんなで楽しくアフレコ!!【ハロー!アニソン部#17】 

高瀬くるみさんがただのプロ声優。

 

 

宮本佳林はアイドルの価値を証明するアイドルだった。

宮本佳林はアイドルの価値を証明するアイドルだった。

この前の『関ジャム』とかもそうですけど、アイドルに対する世間の評価軸って歌ウマとかわかりやすい「スキル」に寄りがちじゃないですか。共有しやすいし、他人にプレゼンしやすいですからね。だけど、本当に歌唱力こそが重要なんだったら歌手の歌を聴けばいいし、ダンススキルが最重要ならダンサーを見ればいい。じゃあアイドル固有の価値とは何なのか。どうして私たちはアイドルに惹かれるのか?

 

「スキルが高い」と外部から評価してもらえることもあるハロプロですが、その中でもJuice=Juiceは特に高スキル集団だという印象があるかと思います。そのグループ内で、歌唱力最強と言えば高木さんや段原さん、ダンスと言えば稲場さん、グラビアアイドル的ルックスでは植村さんの名前が挙げられ、意外と宮本さんの名前が挙がる機会は少ないのではないでしょうか。しかしことセンターに相応しいメンバーが誰かと問えば、圧倒的多数で宮本佳林さんという答えが返ってくるでしょう。


もちろん佳林ちゃんのスキルは全方位に高いのですが、彼女はとにかく「アイドル性」というパラメーターが抜きん出た人でした。最強スキルメンたちと並んでもセンターを張るのは彼女しかいないと思わせてくれるほどに。

 

アイドル性とはすなわち人を惹きつける魅力であり、愛される資質です。見る者の意識を束ねるシャーマン的能力であり、空間の支配力でもあります。漠然としているがゆえに他者へのプレゼンは難しいのですが、それは確かに存在し、アイドルの輝きを目の当たりにした観客の間にだけ共有されます。

 

佳林ちゃんがスキル最強メンに囲まれながらも揺るぎないエースを勤めることで、アイドルの魅力とは決して歌手やダンサーといった専門職に劣るものではないと、アイドル固有の魅力と能力がそこにあるのだと、雄弁に証明されていたように思うのです。

 

そんな、「アイドルの価値」をハロプロの最前線で誰よりも証明し続けていた佳林ちゃんだからこそ、彼女が自らの意志でグループを卒業するというのは、私のアイドル観の根幹を揺るがす事件でした。アイドルの価値の証明者がアイドルであることに価値を見出していないのだとしたら・・・と混乱していたのです。

 

でもblogを読む限りは、グループアイドルからソロアイドルに転身した、ということのようなのでまずは一安心。また違う角度から、これまでと変わらずアイドルの魅力を発信してくれるのだと期待しています。

 

夫婦明暗の岐路?:キッチンのリフォームの話

■楽しいリフォームイベント

結婚後、「昭和の台所!」って感じで使い勝手が悪かった我が家の台所をリフォームしました。我が家では晩御飯はほとんど妻さんが作ってくれていましたが、昼は家にいる私が自分で作りますし、夜も洗い物は私の担当。2人とも使うものなので、事前にカタログを見て見当をつけ、リフォーム業者と相談した後にメーカーのショールームに2人で見に行ったんです。

 

一言で「キッチンのリフォーム」と言っても、全体サイズ、シンク、蛇口、排水溝、フードレンジ、ガスコンロ、壁、収納 etc・・・と、キッチンを構成する要素は多岐にわたり、各要素ごとにグレードや機能、色、素材が異なる商品があるので、それら一つ一つを選定していかなくてはなりません。そしてやっぱり使い勝手が良さそうなものほど相応にお値段が張るんですよね! 事前に内容や予算を見当つけて行っても、現物を見ると「やっぱりもうこっちの方が・・・」と迷ってしまう。ショールームならではの高揚感もあるし、ガイドしてくれるメーカーのお姉さんも弁舌滑らかだし。2人でアレコレ迷って相談した結果、結構予算オーバーにはなってしまいましたが、結果としてでき上がった今のキッチンはなかなかに思い入れがあります。

ちなみに一番のお気に入りは非接触センサー付きの蛇口です。全然予定になかったけど、ショールームで一目惚れしました。理由はSFガジェットっぽくてカッコ良かったから・・・💦

 

そんなこんなで、この日のことはあれこれ2人で迷ったことも含めて楽しいデートとして記憶に残っています。でもね、これも私が比較的余裕のある働き方をさせてもらってるおかげだなとも思うんですよね。

 

■結婚ダークサイド

例えばこれが夫は仕事が激務で、家事を全部奥さんに任せている夫婦だったとします。まずそもそも夫側はリフォームの必要性に思い至りませんよね。使ってないんだからそれが不便だとはわからない。実家は同じような昭和の台所で回ってたのに、どうして(自分が稼いだ大金を出して)リフォームしないといけないのか。夫側がそう思っていると、妻側は職場環境の改善を訴えているだけなのに、なぜかまるで贅沢なわがままを言っているような構図になってしまう。とは言っても予算を出してもらう身では下手に出るしかなく、さぞ理不尽な心境になるでしょう。なんとか口説き落としてリフォームを了承させたとして、妻側が一緒に相談して仕様を決めたいと言っても、夫側はそもそも使ってないキッチンに具体的な要望などないので「好きに決めたら」としか言えない。しかも「好きにすれば」と言いつつも、予算の相場感覚を共有していないので、それが高ければ「なんでこんなにするの?」と文句は出る。

 

ショールームに行くにも一悶着ですよ。まったく興味のない買い物に付き合うなんて退屈極まりないわけで、「激務の合間のせっかくの休みぐらいゆっくりさせてくれよ」というのが夫側の心情でしょう。行ってもあれこれ迷って時間がかかれば不機嫌になるかもしれないし、行かなかったら行かなかったで当初の予算をオーバーでもしていたら納得はいかないでしょう。かと言って予算通りに我慢しスペックを落としたら、妻側は台所に立つ度に不便を感じて「あの時にお願いを聞いてくれなかったから・・・」と少しずつ不満が溜まっていくかも。

 

■明暗を分かつもの

以上は大袈裟かもしれませんが、あり得ない話ではないでしょう。リフォームという同じイベントが楽しい思い出にも不満の材料にもなってしまう。結局は2人の気持ち次第で、それにはお金か時間か、何らかの形で余裕が必要なんだろうと思う次第です。我が家はお金はないけど私の勤務体系から時間には余裕がありますからね。

 

 

島倉りかを80年代のアイドルに!

Hello! Project 2020 〜The Ballad〜 町田市民ホール

9月27日に町田市民ホールで行われたハロコンHello! Project 2020 〜The Ballad〜』を見て来ました。この町田公演は、ハロコンツアーの中でも希少な4人という少人数での公演、しかもその中に小田さくら高木紗友希というハロプロきっての2大歌姫を擁するとあって、仮に推しメンがいなくてもちょっと行ってみたくなるような、なかなかに注目度の高い公演だったんじゃないでしょうか。

 

客席を瞬時に深い森に誘う小田、完璧なフェイクで胸に迫る情感を歌い上げる高木。やはり小田・高木の歌唱力は圧倒的でした。小野田紗栞さんも伸びやかで透き通るような高音ファルセットが生かせる曲では素晴らしく、なにより"理想の彼女"感を漂わせる現代的アイドル像の打ち出しとして非の打ちどころのない佇まいであったと思います(●●坂でセンターを張ってても違和感なさそうなほど…)。しかしことコンテンツバリューとしては、島倉りかさんのステージにこそ独自の将来性があるように感じました。

 

 

■見る者を昭和時代へと誘う島倉りかステージ

他の3人は、歌の世界観、歌唱、そして歌い手のルックスの3つが必ずしも一致しているわけではなく、曲によってはズレを感じます(『もののけ姫』を茶髪で歌ったり)。しかし島倉さんだけはすべて「昭和歌謡」に焦点を当てて作り込まれており、しかもその高い完成度から、見ている間は昭和時代にタイムスリップしたような感覚を味わえるのですよ。

 

歌い手個人の独自の世界観を持っている歌手はいますが、特定の時代観を出せる歌手は稀です。そして「あの人は今」や過去を振り返るランキング番組の放送、リバリバル作品・玩具のリリースが毎年絶えないように、一定の年齢以上の大人にとって自分の子供時代・青春時代へのノスタルジィは常に需要があり、しかも集金性も高いコンテンツです(りかちゃんが出演した『この差ってナニ?』の昭和歌謡特集も急遽2回に分けて放送されましたが、あれも需要があってこそでしょう)。 そう考えると、「80年代を体験できるコンサート」というのは、「上手い歌手のコンサート」とはもう一つ別の角度のバリューが乗っかっており、普段はお金を出してコンサートに行ったりしないような、従来のアイドルファン層の外の人々にもリーチするコンテンツになり得るのではないでしょうか?

 

 

■島倉りか昭和歌謡ショウ!

コンサートも歌唱ステージだけじゃなく、会場で当時風のアイテムや食べ物を売ったり、レトロゲームの筐体を置いたり、懐かしい映像を流したりと、80年代をモチーフとした体感型テーマパークとしても展開できそう。また当時の雑誌記事風のパンフレットやプロマイドなど、グッズ展開も考えやすいでしょう。現代的な双方向的コンテンツとしても「80年代の国民的アイドル 島倉りか」が実在したという体裁でファンワールドを展開していくのは楽しそうじゃないですか?

 

しっかり作り込めば、本当に今までの違う経路でのブレイクやマネタイズが期待 できそうな気がします。個人的にはBEYOOOOONDSのデビューがらみでその手腕を発揮した博報堂ケトルの北野篤さんチームにプロデュースをお願いしたいところです。