のぼる小寺さん
モーニング娘。OGの工藤遥による初主演映画『のぼる小寺さん』を見てきました。
やりたいことに真っすぐな小寺さんをハブとして、関わった人たちが少しだけ前向きになれると青春群像劇。--として素晴らしい内容であったことは少し検索すれば並々ならぬ熱量で語っている人がたくさんみつかると思うので、ここではハロヲタとして、やはりまずは女優・工藤遥が求められての起用だったと確信できたことに大いに喝采を送りたいのです。
もっと人気も実績も華もある女優さん--例えば橋本環奈や広瀬すず--を使いたかったけど予算とスケジュールが合わなくて工藤遥になっちゃった…というのとは違う。逆にもっと平凡なルックスの子が内容にはマッチしてたんだけど宣伝効果が欲しかったから名のあるタレント・工藤遥を起用した、というのとも異なる。ストーリーと演出の要請から工藤遥その人の起用が必要だったのだと、そう感じられる内容であったというのが嬉しいじゃないですか。
工藤遥の、いや我らが“どぅー”の最大の特徴はやはりハスキーな低い声でしょう。配役として「ただの美少女」を求めるのなら、そのハスキー要素がノイズとなってしまう。でもその低い声を特性として生かせるなら唯一無二の俳優となり得る。そこでこの映画での小寺さんというキャラクターですが、教室では少し浮いた存在で、思春期にありがちな自己顕示欲や、異性への興味、同調への焦り、はみ出すことへの恐れをあまり感じさせない子なんです。だから高く明るい声よりも、どぅ-の低い声が朴訥にも響いてよりハマっているんですよ。
それともう一つこの役の上で大事なのは「華やか過ぎてはいけない」ということ。「教室ではそこまでパッとしていないし、異性から注視される存在でもない」、「でもボルダリングに打ち込んでいる時は輝いて見える」というバランスがストーリー上必要なんです。その難しいバランスにどぅーが丁度良い。もちろん十分美少女などぅーですから、それは演出技巧もあってのことですよ? 教室のシーンではちょっと光の加減で顔色が暗く映されていて、一方で近藤君(小寺さんに惹かれいくクラスメート)が目撃する彼女のボルダリングシーンでは明るく、どぅーの透明感が際立つように撮影されている。ダラダラ饒舌な説明ゼリフなんかなくても、そのシーンの絵作りがそのまま近藤君の心理描写となって自然に観客の感覚に入ってくるのが、豊かな映像言語~~!って感じなんですよ。そう、輝いて見えたんだよな! 目標をまっすぐ見据えてる彼女が眩しかったんだよな!って伝わってくる。もうそのワンショットの説得力ね。これが冒頭にあることで、映画の牽引力でもある「頑張ることへの憧れ」に自然に共感し、スムーズにお話に入って行くことができました。派手なストーリー展開があるわけじゃないからすごく空気感が大切な映画なんだけど、かと言ってフワフワ作ってるわけではなく作劇技法としてロジカルに詰められているなと。
そもそも前述した通りの「自己顕示欲とは無縁の天然少女」をあの自意識の塊みたいなどぅーが演じてるのに、それがまったく自然に見えるっていうのがね! どぅー目当てで見に行った私のような人間が、どぅーとはまったく異なる少女として自然に見ていたのが既にすごいことですね。
■原作の見事な改変
原作コミックから映画への改編についても触れておきましょう。
原作の「小寺さん」は金髪の美少女で、露骨なセクシーアングルのショットも多い(ただし序盤のみで中盤以降はなくなる)。そして作品世界的にも衆目を集めるアイドル級の美少女ということになっています。よく「マンガはまずはキャラクター」と言われますが、原作における読者の興味を牽引する最大のフックがこのヒロイン・小寺さんのキャラとしての魅力であることは間違いないでしょう。
一方で映画では小寺さんは作品世界の中心ではありますが、物語はむしろ彼女の頑張る姿を見て心を動かされていく周囲の人々の姿を追うことで推進していきます。なので原作のままでは小寺さんのキャラクターが立ち過ぎる。そもそも原作のままだとヒロイック過ぎて実写映像のリアリティから逸脱してしまいかねない。そこで金髪から黒髪となり、「教室では目立たない子」に改変されているんだと思います。
これがアニメ化だったら改変は必要ないんでしょうけど、今回のように青春群像劇を目指して実写化するのであれば、適正な改変であったように思います。
ここから派生して一つ関心したのが、「田崎ありか」という登場人物が原作にはない眼鏡をかけていたこと。これは小寺さんを金髪美少女から黒髪地味子に改変したことを受けて、キャラクターの描き分けとしてありかはさらに地味に調整されているのでしょうね。原作のキャラクターデザインをただ引き写すのではなく、物語の役割上求められる姿にちゃんとリデザインしているのが、媒介に合わせた「正しい翻訳」って感じでした。
ただありかを演じるのが小野花梨さんなんで、野暮ったいおさげにダサ眼鏡でも、なんかこう、アレな魅力が滲み出ちゃってるんですよね(汗) まぁそこは仕方がない。あとありかのエピソードで一つ原作と意外な違いがあるので、そこは見比べてどうしてそうなったか考えるのもなかなか面白いと思います。
ソロフェス
ソロフェス
Twitterの覚書記録。
01.高瀬くるみ『Summer Wind』
リクエストが多かった曲よりチャレンジングな選曲をしたというくるみんはしっとり系夏ソング。歌唱力的には申し分ないし、抑制的な感情表現も素晴らしいんだけど、いかんせんこの曲を歌うには先天的な声質の問題で、歌声に湿度が足りないように感じた。声がカラリと明るいからね。
02.佐藤優樹『dearest.』
覚書ナシ
比較的最近ソロ歌唱を堪能する機会に恵まれてたれいれい。ガチな歌ウマ路線はそっちに回して、こっちは伸び伸びと歌ってるようでした。こぶし解散、新グループ加入という大きな山を超えてきてるだけあって、緊張も感じさせない歌いっぷり。
04.船木結『GIRL ZONE』
ふなっきは多芸ぶりと地力の高さという2つの異なるベクトルの実力を同時に見せつけたな! 優勝!
05.森戸知沙希『あなたなしでは生きていけない』
ソロフェスなのにつんく♂コーラス入り過ぎてほぼデュオw 間奏ダンスは9人分担のヴォーグだから、ソロ用にアレンジするのは正解だよね。見せ所設定的にも戦略的勝利!
06.岡村ほまれ『あまのじゃく』
あどけない声とスタイルの良さ。自分のストロングポイントの見せ方わかってる選曲ぅ。
07.横山玲奈『付き合ってるのに片思い』
よこやん、ヘッドセットマイクでのフルダンスと謎のフリップ芸、まけにかえでぃーイジりで確実に記憶に残るパフォーマンス。歌唱だけで突出することはできないことを自覚しての生存戦略! しかしイロモノと見せかけておいて「真の決め球はそう、私のこの笑顔です」と決めてくる。自分の魅力を十全に出せているのが偉い!
08.高木紗友希『抱いてよ!Please Go On!』
『プリゴー』はコンサートの大盛り上がりのシーンと直接比較されちゃうから、こういう場面で歌うのにはちょっと不利な選曲かも。
09.岡村美波『恋しくってごめんね』
全世界中の人を笑顔にしてしまう可愛さ。小指もちゃんと立ってる! 矢島さんが「岡村ちゃん」と呼ぶ度に靖幸の顔が頭に浮かぶ。
10.島倉りか『ナセバナル』
歌良かったね! ビヨの曲群よりも低めのこの曲の方がりかちゃんのキーに合ってる。今後はこのキーが生かされるビヨ曲も増えて欲しい。
11.石田亜佑美『忘れてあげる』
イスと一人芝居。ダンスだけじゃない石田を魅せてあげる! 一芸盛り込み系の中ではプログラムとしての完成度がもっとも高いガチ路線。
12.野中美希『愛して愛して後一分』
過去に歌ったこともあり、リクエストが多かっただけあって歌が合ってる。ただそれはイコール想定しやすいということでもあり、驚きはなかったかも。
13.平井美葉『Come With Me』
サビ以外歌わないダンス特化型! 「そんなんあり⁉︎」という声ををネジ伏せるイケ散らかしたパフォーマンス。ただスタンドマイクで歌ってる時ちょっと棒立ちっぽい時間がもったいなかったかな。カッコいいパフォーマンスと緊張が解けて泣きそうになってる披露後のギャップゥ!
14.北川莉央『告白の噴水広場』
間奏でフルート! 特技を生かしたパフォーマンス。 ただ歌ってる間持ってるフルートが動きを制限しちゃうので、フルートは間奏になってから背中からおもむろに取り出すとかサプライズ要素にした方が良かったのでは。
15.小田さくら『引越せない気持』
歌姫さくら、特濃情念で魅せます。もう自身の強みを知り尽くした熟練の横綱相撲。そして昭和の匂い・・・w
16.譜久村聖『I WISH』
世界よ聴け。モーニング娘。のリーダーが歌う『I WISH』だ。
この曲をこの説得力で歌えるのは世界で常にただ一人。どう目立つかどう見せるかの次元を超えて、こちら側に愛を届けることを主眼とした姿勢。
そしてモニターに謎の手描きイラストw
17.生田衣梨奈『恋をしちゃいました!』
モーヲタとして最も幸せな記憶と結びついたこの曲は例え生田が歌っても泣けるなぁ(失礼) と思ってたら間奏で突如ラーメン実食チャレンジ。「ラーメンを食べまし〜た」って、俺の涙を返せ!
18.里吉うたの『魔女っ子メグちゃん』
ダンス特化型再び! 美葉ちゃんとうーたんはその対比で互いのダンス系統の差がめっちゃ際立つので、この二人を同時に採用したアップフロントは改めて超有能!! 歌唱面では一番ハラハラするメンバーだと思ってたけど、ダンスパートと上手く切り分けて危なげなくクリア。
19.浅倉樹々『れでぃぱんさぁ』
樹々ちゃんが躍っていると今でもちょっと心配になってしまうな(汗
つばきであまり聴けない曲調で良かった。
意外!それは『恋ING』! 本人が語る通り引き算を覚えたパフォーマンス・・・というかあまり踊り所がない(汗) 肩が膨らんでてダンスを魅せるのにあまり向いてなさそうな衣装なのも難点か。
21.伊勢鈴蘭『ふわり、恋時計』
まなかんとまさかのコンテンポラリーダンス被り。歌詞世界が意外と動的なので『恋ING』よりもダンスが合うし、衣装も美しいバレエポーズのシルエットを決め絵として見せるのに適している。それでいて激しすぎないので歌も万全で、まなかんの印象を上書きしてしまった。
22.岸本ゆめの『FIRST KISS』
お調子者キャラを封印して本気の歌唱で勝負! さすがの実力で、歌だけに絞れば全メンバーの中でも印象は随一。
23.松永里愛『友達は友達なんだ!』
実力診断テストには音源のピッチを落として一音一音超細かい調整で挑んだという里愛ちゃんだけど、ここでは自由をテーマに臨んだとのこと。デビューできてちょっと心が軽やかになれたのならいいな。スタイル良し。もうちょっと表情弾けても良かったかな。
24.山岸里子『会いたい会いたい会いたいな』
ヘッドセットマイクでイスを使ったパフォーマンス。もろストリップ風ダンスで気まずい(汗) そしてその割には衣装はロング丈のワンピースというね・・・
25.小林萌花『初めての経験』
求められた役割はキッチリこなしピアノ演奏。初期真野曲の難し過ぎないダンスを初々しく精一杯踊っている姿が微笑ましい。キレイな音大生のお姉さんがこれ歌って踊ってると思うと無限に愛おしいわ。例えば音大の学園祭行ってその品格の高さに気後れを感じてる時に、ステージ上で満面の笑顔でこんなん踊られたらもう好きになるしかない。
26.谷本安美『書いては消してのI LOVE YOU』
とにかくお顔が美しい。「最後に注目!」と引っ張るから何かと思ったら「好きです」と書いたお手紙渡す仕草。つばき一芸シリーズ。
27.段原瑠々『Love Take It AII』
クソ高いポテンシャルを生かしてもはや最高トルクでも余裕すら感じさせるパフォーマンス。ステージング、総合力でベストパフォーマンス賞!
28.植村あかり『愛はまるで静電気』
え、あーりーってもう歌ウマな方のメンバーなの・・・⁉︎ この美貌で? もう最強じゃん。
29.江口紗耶『世界一HAPPYな女の子』
まぁるいの顔に長い手足。フレッシュでキュートな歌声。むしろビヨ曲よりもイイ感じかも? 長い間奏にブートキャンプが入るんじゃないかとちょっと期待したw
基本的に高橋メインボーカル曲は莉佳子に合うよね。ダンスはキレとダイナミズム!! その堂々とした姿には貫禄さえ感じさせます。まさにこれぞ「正面突破戦力」。
31.上國料萌衣『ロマンティック浮かれモード』
コメントで言ってた「画面越しに楽しんで欲しい」でこの選曲ってそういうこと⁉︎ ワイ集合住宅なんだけど・・・(汗) とにかくニコニコ楽しそうだし、それでいて歌も安定してる。
32.西田汐里『お願い魅惑のターゲット』
BEYOOOOONDSの歌柱。盛り上げ曲をノリノリで歌っても乱れない呼吸、ピッチ、音程。笑顔でカメラアピールの余裕まで(逆にメロンの暴力的なまでのパワーと荒々しさはないが)。しおりんはあざといんじゃなくて見てくれている人に対して真摯なんだと思ってる。
33.牧野真莉愛『ハッピーサマーウェディング』
顔とスタイルが国宝。天真爛漫なキャラクターの魅力が素直に出てるなー。守りたいこの笑顔。
34.羽賀朱音『嗚呼すすきの』
あかねちんの声やキャラクターイメージとはギャップがある情感系の曲へのチャレンジ。マッチングはまだまだだったかな。でもセリフや演技はすごく良かったから、グループで歌う時には見せ場として投入されると思う。
きその可愛い声はスマ曲が合うんだよな。謎の団扇オタク芸を披露。つばきのメンバーは何か芸をやろうと頑張りはするんだけど、それが慎ましさから逸脱しないレベルなのが微笑ましいというか、つばきらしいと言うか。いや、これがアイドルとしては適正な範囲で生田がやり過ぎなだけかw
つばきの一芸シリーズ。フルートの出だしでズッコケたw 間奏の「知らない」のスネた表情からサビの笑顔への展開に心つかまれる! 自分の魅せ方をわかってる。
37.川村文乃『素直に甘えて』
セクシーなスタイルにコケティッシュな声というのは、マリリン・モンローやベティブーブといった全世代的なセックスシンボルと同じ組み合わせなんだよね。その魅力か十全に出せる選曲。魚をさばきながら・・・ではなくタップダンスを披露。
38.金澤朋子『想いあふれて』
「歌一本で勝負」とカナトモ先輩。その言葉の通り、歌い出すと一瞬でカナトモ・オン・ステージな空間を作り上げていた。さすがにソロステージには一日の長があるなぁ。聴き手の意識へのハック力というか、支配力が違う。
39.宮本佳林『学級委員長』
人と競うのではなくただありのままの自分の力を示すことができればそれでいいのだという、卒業を決めた者の余裕。表情ってこんなに微分するかね。バラードでこれだけ聴かせるのはよほど実力ないとな。
40.笠原桃奈『シンデレラ/コンプレックス』
一方で歌もダンスもと欲張る強欲は若さの特権。限界の一歩先に挑む懸命さこそが見る者の胸に迫る。
41.山﨑愛生『チャンス!』
パンダさんパワーでお団子ヘアからツインテールに変身! これまでの実力診断テストを見守ってくれた歴代パンダさんに囲まれて伸び伸び笑顔のパフォーマンス! きらりちゃんの継承者はめいちゃんや! 司会の矢島さんもすっかりメロメロ親目線。
42.秋山眞緒『Midnight Temptation』
自分で振り付けしてダンスで魅せてるのにロングスカートが惜しい・・・と思ったけど、大きい動きで全然ハンデになってなかった。すごい! そして激しく踊ってるのに歌も安定してる!
43.加賀楓『シルバーの腕時計』
抜き身の日本刀のようなキレと美貌。 かえでぃーは歌の情感表現に関してはまだまだだと思ってたけど、めちゃイイじゃん! こんなに切ない歌と表情の表現ができるとは思ってなくて、一番驚かされたメンバー。・・・と思ったらやはり本人もそこを主題に練習したらしい。自身への課題設定とその成長成果が最も明確だった。
44.山﨑夢羽『奇跡の香りダンス。』
正直この曲は微妙だよね? BEYOOOOONDSの大黒柱なんだから、もっとユハの実力が生かせる選曲が良かった(汗) これからのグループだけにこういう機会ではエースメンはガツガツと実力をアピールして欲しい。
45.前田こころ『横浜蜃気楼』
空手はヒジから先の使い方が他の武道とは一線を画する! 「男っぽく」と「女の子らしく可愛く」の間の「カッコいい女らしく」という新領域に挑み、可能性を広げるパフォーマンス。かっけぇ!
46.小野田紗栞『ね〜え?』
さおりんには30歳になっても40歳になっても深キョン的なポジションで可愛く活躍してて欲しい。しかし間奏での自撮りパフォーマンスは謎。そして地味w これもつばき一芸シリーズ。
47.一岡伶奈『エレガントガール』
喋らなければエレガントないっちゃんw 低めハスキーな梨沙子の声の曲と合うね。
48.工藤由愛『SEXY BOY ~そよ風に寄り添って〜』
ステージ上でタコ探しという謎すぎる演出をやり切る姿勢。 本家より1.5倍キレがある。 というか多分こんなキレキレで踊る曲じゃない。カメラ目線でタコを見せつけられると思わず「こっち見んなw」と思ってしまう。
49.竹内朱莉『砂を噛むように・・・NAMIDA』
その愛されイジられキャラから歌唱メンであることを忘れられがちなタケちゃん。こういう機会に知らしめておかないとな!という貫禄を感じさせるパフォーマンス。
50.橋迫鈴『キャベツ白書』
自身の孫力を自覚してかこの選曲。基本に忠実にリズムを丁寧にとりながら。緊張しながらも精一杯聴かせてくれました。タケちゃんと並びで良かったね。
2020年に初期タンが聴けるとは・・・(泣)薄幸そうな小片さんにはハマるなぁ。高音の伸びも声の湿度も。
52.清野桃々姫『What is LOVE?』
大トリ! サブちゃん! アクセントで使うのかと思ったらまさかのガッツリサビでトークボックス! ホースを首に回してドヤッてるのはもう異次元のパフォーマンスだよ桃々姫!!w
一つ思ったのは、ダンス頑張ってるのにボディラインが見えづらいとか、衣装で損してるメンバーがちょいちょいいたからそこは自由に選ばせてあげたかったな。山岸さんとかあのダンスするならあんな大人しい衣装じゃないでしょう。(いや18禁になるからあれぐらいでちょうど良かったのか・・・)
あとできれば歌う前に曲名言うシステムにしないで欲しかった。前奏聞いて「この曲キタァァ!」と高まりたいので。
少女たちの時間
昔は芸能界を辞めた人は山口百恵のように一切メディアに露出しなくなることも当たり前でしたが、SNSで個人が発信することが当たり前になった昨今では、ハロプロを卒業したり研修生を辞めた子の今の姿をネットで目にする機会も増えました。そこで気が付くのは、辞めた子がアッという間に垢抜けて綺麗なお姉さんに変貌してしまうこと。それを見ると、ハロのメンバーたちを現状に押し留めている無形の力に思いを馳せてしまいます。
もちろん「アイドルファンはロリコンだから」という身も蓋もない側面もあるでしょうが、それだけじゃなくて! これは、大人であるファンの側の時間感覚と年頃の女の子であるメンバーたちの時間間隔が違い過ぎるというのが一つの要因だと思うんですよね。だってとうの昔に青春時代を卒業した大人である我々は、若い子に対して気軽に「もうしばらく今のままでいて欲しい。今のままの君を見たい」と願うものじゃないですか。しかもここで言う「もうしばらく」は数年単位だったりします。だけど、少女たちが感じている日々のスピード感や焦燥感の中では、それは400m走を全力疾走してる途中で「5秒間息を止めて」と言われるのに等しいのかも。そこには絶望的なまでの感覚の断絶があり、悪意なんてなくても、ファンの無邪気な願いが息苦しい抑圧となることもあるわけです。
(笠原さんが濃いリップをつけた時に一部のファンから「大人っぽ過ぎる」なんて非難されたことがありましたが、あれもその一種でしょう。)
だけどアイドルが「過ぎ去った青春を幻視したい」というニーズに応えるジャンルでもある以上、その「時間感覚の違い」はもうファンとアイドルの関係性に織り込み済みのもので、彼女たちに向けた視線が抑圧を生んでしまうのは、ファンにとっての避け得ない「原罪」みたいなものです。それを完全に捨て去ることはできない。だけど、だからこそせめて、自覚的でいたいのです。
彼女たちが現役の間は了承済みの関係でもあるのでしょう。しかしひとたび彼女たちが自分の力で飛び立とうと決断した時には、ファンはすがりついて押し留めるのではなく、感謝と祝福で送り出さねばならないと思っています。
橋本慎×星部ショウ×児玉雨子×ぱいぱいでか美×北野篤「聞きたい! 新世代のハロプロ作家の作詞作曲術!」 :その2
先日本屋B&Bさんで行われたトークイベント 橋本慎×星部ショウ×児玉雨子×ぱいぱいでか美×北野篤「聞きたい! 新世代のハロプロ作家の作詞作曲術!」のレポの続きです。
2019年ハロプロ3大トピックとしてゲストがそれぞれBEYOOOOONDSのことを挙げていたので、BEYOOOOONDSがらみの話題はまとめてすることに。そこでは歌詞の初期稿や完成前のデモ音源、MVの文字コンテなど貴重な資料も公開されて、曲ができる過程などが解説されていました。ここでは曲ごとにトピックをまとめて話を再構築しています。
■『眼鏡の男の子』
まずは星部ショウさんから、この曲を「第2回FOREST AWARD NEW FACE オーディション」に提出したのがハロプロで仕事をする切っ掛けで、当初は『眼鏡の男の子』ではなく『眼鏡の女の子』であったという、既に星部さんのライナーノーツで書かれている経緯が一通り説明されます。そしてその最初期の音源が公開されました。この音源は星部さんが『新世紀ミュージック』に出演された際にバックで流れていたものですね。アレンジはアコースティックで今よりずっとメロウな雰囲気。テレビではコメントと重なって聞き取れなかった部分の歌詞が
「桜色したブックカバーに
隠してるのはどんなストーリー
いつでも君は僕を素通り
眼鏡、眼鏡の女の子」
と「ストーリー」と「すどぉーりー」で韻を踏んでてちょっとオシャレだったことが判明。
次に流されたのは、BEYOOOOONDS用であることを前提に調整されたもう少し進んだ未完成音源。既に冒頭に星部さんの裏声による小芝居の掛け合いが入っていますが、登場人物はまだ女子高生3人組のみ。しかしその後の「今日もすし詰め満員電車~」の口上は割と今のままでした。
これが提出された後に、野沢トオル氏によって冒頭の芝居部分の登場人物が9人に増量されて、今の形の大枠が完成したとのこと。
ちなみに上記のデモ音源のアレンジがファミコン風のピコピコ音だったのですが、それを聞いたぱいぱいでか美さんから
でか美:ファンの方でBEYOOOOONDSの8bit音源を作ってる方いますよね、好きでよく聴いてるんですけど
と知り合いのセルダー(@selder16)さんの音源への言及があって「今度でか美イベントに一緒に行くしか‼」と個人的には高まりました。
ここから北野さん。BEYOOOOONDSへの参加はシングル各曲のジャケットやMVなど。ジャケットのアートワークは「モーニングみそ汁」と同じデザインチームとのことで、ここで公開された大ラフのイメージ案で既に少女漫画「りぼん」単行本風のイラストが描かれており、全体のビジュアルイメージがこの時点で既に固まっていたことが伺えます。そしてこのデザインラフを描いたのは過去に法廷画家やってた人だそうで、短い時間で人物の特徴を捉えるのがやはり得意とのこと。ちなみに法廷画家の人はMVの撮影に同行して、なぜかみいみとにらめっこをしてたそうですw
『眼鏡』のMVは北野さんがまずあらすじを書いたとのこと。ただ映像監督だけに任せるとなんとなくの芝居をつけてしまうので、北野チームの女性スタッフと一緒に登場人物のこの子はどんな子で電車の中では何をしているのかと、キャラクターの細部・隙間を掘り下げて詰めていったとのこと。例えば江口さんだと真面目な子だから単語帳を見ているんじゃないかとか考えて、その場で単語帳を買いに行ったと。北野チームが「大枠」と「ディテール」の両面から作品世界の構築に貢献していたことが伺えます。
■『アツイ!』
『アツイ!』のMVは、公開こそアルバムプロモーションのタイミングになったけど、実は楽曲発表順と同じく『眼鏡』の次に製作されていたそうです。
「確かにみんな若くて…特に美葉ちゃんの顔が幼いと思ってました」
とでか美さん。橋本氏曰く、当初は『眼鏡』の可愛い系か『アツイ!』の激しい系か、どちらで行くんだろうと思わせる作戦だったとか。
ここでモニターに北野氏によるMVのVコンテ(プレゼン用のラフな動画)が映されました。『アツイ!』の音源に合わせてさまざまな動画がコラージュされた映像だったのですが、これがまぁ、まんまアレでアレというか。元ネタ開陳大会と言いますか、当然絶対に外には出せないヤツでして。
北野:「アツイ!」というか「ヤバい!」って感じですねw
深夜テンションのままに作られたというこのVコンを見て、「これはイケル!」と思ったと橋本氏。なんでだよ・・・・・・(汗)
■『Go Waist』
「west」と「waist」とをかけたのは橋本氏の発案。「Go West~」部分を「ビーヨーンズ」にするのは最初の頃から決まっていたそうです。あとは雨子さんが「BEYOND=超える→肥える」と展開してワークアウトソングとして歌詞が進められ、そこにブートキャンプ要素を加えたのは野沢トオル氏。そこからほのピアノをどうするかという話になり、「運動は体操で締めるもの」ということから整理体操を入れることに。ラストに体操が入ると伝えても編曲の大久保薫氏はどういうことかピンときてないようだったので(そりゃそうだ)、橋本氏が仮に体操音を入れた音源を渡したら、「そういうことか」という感じで納得してくれて完成したと。
ここで雨子さんによる歌詞の初期稿がモニターに映されたのですが、サビが
も~Waist 燃やしてこう
も~Waist モヤシ食おう
となっており、雨子さん曰く「今見るとゾッとする」とのことでしたw
MVに関してはテレビ番組をザッピングするアイデアは当初からあったと北野さん。ただサヤーズ隊長は今でこそ江口さんに腹筋メイクしたものになっていますが、当初はパンプアップした江口さんが本当に別人に変身して全然知らないマッチョなおばさんになる予定だったとか。歌部分はそのおばさんがちゃんとリップシンクまでする予定だったそうで、もし実現してたらメロン記念日が黒人男性に入れ替わった『お願い魅惑のターゲット』以来のクレイジー案件になってたことでしょう。夜中の1時にムキムキの女性のリストをみんなで見てキャストのリストアップまでしたけど、ギャラの問題で断念したとのこと。
■『ニッポンノD・N・A!』
当初のタイトルは『怒れD・N・A!』。初期デモ音源が流されたのですが、これが今とはまったく別モノのテンポも緩いダサラップw
ヘーイ YOー 1億2600万人のジャッパニ~ズ♪
(ジャッパニ~ズ)
みたいな。メロディも違ってましたね。
次の段階のデモは緩い縦ノリのいわゆる『おら、東京さ行くだ』的なIKUZOラップ。
この後でDA PUMPの『USA』を意識してユーロ路線に舵を切り、日本にユーロサウンドを広めた人と言えばTK! という流れからTKサウンド路線で進めることに。披露された次の段階のTKコードデモでは「生粋の内弁慶~」の部分が「「生粋のお人良し~」とか歌詞はまだ未完成でしたが、メロディとしては今の大枠は固まっていた印象でした。あと歌詞で日本の良いところを羅列してるんだけど、
「カラオケ・胃カメラ・ウォシュレット!」
なんて歌詞もあって、「語呂がイイ!」とひとしきり盛り上がる 。
でこのTKサウンドでまんまとひっかかっ…(ゲフンゲフン)乗って頂いたのがDJ KOOさんで、KOOさんがTwitterで言及した後でYouTubeの再生数が一気に伸びたと橋本さん。
余談ですが北野さんはハロコンにDJ KOOさんに出てもらって 「trfはテツヤ・コムロ レイブ ファクトリーの略ですからー!」って言ってもらうことを提案したけど、苦笑いで流されたそうですw
MVにおける、とある会社の放送室から始まって、社内を巡って、屋上に行って主張して・・・という大枠は北野さんの最初のラフコンテでもうできていたそうです。会社で書類の紙吹雪の中で歌うのは新宿三井ビルののど自慢大会などもイメージソースになっているとか。 いろんなことが繋がっているなあ・・・。
■『恋のおスウィング』
この曲は詞先で製作。『眼鏡の男の子』の世界観を広げるという趣旨の発注で、雨子さんが詞を書き、そこからセリフを追加したりと調整が入って完成。
■『高輪ゲートウェイ駅で抱きしめて』
こちらも製作の経緯は星部さんのライナーノーツに書かれている通りなんですが、星部さんと橋本さんがヒャダイン氏のラジオに出演した文化放送からの帰り道の電車内での会話を小芝居で再現してて、それに対して雨子さんから
「オジサン2人がいちゃいちゃデートしてるようにしか見えない・・・」
というツッコミが入ってました。
『高輪』の流れから橋本さんより「BEYOOOOONDSの弱点は時世に合わせ過ぎなこと」というお話が。春には高輪ゲートウェイ駅ももう完成してしまうし、『元年バンジージャンプ』も今年には合わなくなってしまったと。ただでか美さんから「2年は言いづらいけど、3年はできる」とも。
「さぁ、3年だバンジージャ~ンプ♪」
確かに。
北野氏曰く、BEYOOOOONDSはシングルからアルバムの期間も短くスケジュールもタイトで、MV3種ジャケ6種は地獄だったと。徹夜続きの合宿状態で、星部さん・野沢さんとよく一緒にご飯に行って「俺たち頑張ったな」とお互いを褒め合って乗り切ったそうです。良い話かと思いきや雨子さんより
「なんで私は呼ばれてないの!? 私も頑張ったよ??」
確かに。
■総括
さまざまな要素がてんこ盛りのBEYOOOOONDS楽曲群やMVがどういう発注がされ、どういうやり取りの中で作り上げられたのかはずっと不思議だったのですが、今回お話を伺ってそれが見えてきましたね。大勢の人物がアイデアを出し合ってブラッシュアップ・・・というかカオス度をどんどん盛り足していってでき上がったんだなと納得できました。煩雑なやり取りと連絡のタイムラグを避けるためにグループLINEなども駆使して効率化を図っているのも印象的。
そしてカオス度を上げるに当たって、従来のハロプロにはなかった要素を加えたのが北野篤さん。星部さんや雨子さんはこれまでの実績もよく知られていましたが、北野さんに関してはBEYOOOOONDSがらみで初めて名前を知ったという方も多いかと思います。モーニングみそ汁とかセカパカの時にはお名前を出されてませんでしたからね。ご本人的にも2019年は「自分の名前を出していこう」と意識されていたらしく、そのことから「BEYOOOOONDSの話題の盛り上がりは自分をフックアップしてくれた」という感覚があるとのことでした。
名前を聞き始めてからも具体的にどういった要素を担っているのかはいまいち見えて来なかったのですが、お話をうかがっていると、BEYOOOOONDSにおける面白い要素のかなりの部分が北野さん発案。MVやアートワークにおけるアイデア出し、0を1にする作業は基本的に北野チームの担当のようでした。遊び心のあるアイデアマンで、しかも「実力診断テスト」なんて単語が普通に会話の中に出てくるあたり、ハロプロにも相当詳しい。信頼できるキーマンという印象で、今後もBEYOOOOONDSにもガッチリ関わり続けて頂きたいですね。
残る話題はレポその3へ続く・・・・・・かも?
橋本慎×星部ショウ×児玉雨子×ぱいぱいでか美×北野篤「聞きたい! 新世代のハロプロ作家の作詞作曲術!」:その1
先日本屋B&Bさんで行われたトークイベント 橋本慎×星部ショウ×児玉雨子×ぱいぱいでか美×北野篤「聞きたい! 新世代のハロプロ作家の作詞作曲術!」に参加してきました。その中から気になったトピックを紹介していきたいと思います。メモを元に書き起こしているので細部が異なること、文字起こしと地の文が混在してることはご了承ください。
■偶然生まれた『LOVEペディア』と『人間関係No way way』
雨子:1年前ぐらいから書いていたけどタイミングがハマらなくて。最初のタイトルは『LOVEタイフーン』だったけど、夏に台風の被害などがあり自主規制というか自粛に。続いて出したのが『LOVE旋風』。こちらは「せ」の音が弱いとボツに。橋本さんたいせいさんとのグループLINEでタイトル大喜利となってさまざまな案が出た。『LOVE大吉』とか。最終的に私の案で今の『LOVEペディア』に。ただ発売まで間がなかったので、さらに上の人からボツをくらった時の代わりも用意しとこうと、コンビニでエロ本を買う時に恥ずかしいのを誤魔化すためにエロ本の上に『少年ジャンプ』を乗せて隠すみたいな感覚でもう一案を用意した。それが後の『人間関係 No way way』。当時は『人間関係リセット姫』というタイトル。そうしたら「それもええな」という感じでそっちも採用になりました。
橋本:編曲は『LOVEペディア』が先。出だしでどちらの曲かわからなくならないようキーを変えた。『LOVEペディア』は最後に転調して上がるけど、『人間関係No way way』は最初から上。2曲続けてやるとバッチリ合うようになった。これは計算したわけではなくて結果そうなった。
雨子:今の音楽業界ではいつくかの候補の中から1曲が選ばれるコンペ制が基本なんですが、その常識が覆った。「選ばない」という新しい選択。やっぱりアップフロントは頭おかしい(誉め言葉)。
「同じメロディで違う歌詞・編曲・振付け!」というのが意欲的な試みとして対外的にも宣伝されている『LOVEペディア』と『人間関係 No way way』。ファンからもかなり評価されていたこの取り組みがまさかこんな偶然の産物だったとは・・・! 何気に今回のイベントで明かされた事実の中で一番の衝撃だったかも。でももの作りにはこうした偶然の機を逃さない感覚が大切なのかもしれません。つんく♂氏も『恋のダンスサイト』の「あ、なんだ」みたいに昔から偶然生まれた没テイクを活用したりしてましたからね。
■北野篤さんの経歴
BEYOOOOONDS周りと『LOVEペディア』のMVで一躍ハロヲタの間にも名が知られるようになった博報堂ケトルに所属するプランナー・北野篤氏。ご本人から説明があったハロプロとの関わりをまとめると、最初は「LOVEオーディション」の手伝いで、動画を作ったりアドトラックを走らせたりしたそうです。
言及はなかったけどこのサイトも製作されてたのかな?
そして「モーニングみそ汁」。「モーニングみそ汁」は企画を3個マルコメさんに出したのの一つで、立案や、メンバーごとの担当具材決めも北野チーム(でか美さんから「野中美希ちゃんを揚げナスに決めたのも!?」的なガヤ)。時期的には13期加入の頃で、ハロステで加賀さんと横山さんへのモーニング娘。加入サプライズ発表の動画があったけど、あの撮影の直後の2人にどの具材がいいかを聞いたので、「これもまだ何かのサプライズなのか?」と不審がられたとのこと。
セカパカのプロモーションは以前からずっと北野チームが担当しており、ちょうどモーニング娘。が13人だったので、リーダーの譜久村さんを真ん中に12球団でハマった。セカパカの歌詞を書いたのは北野チームの女性スタッフで、『LOVEペディア』のMVに出てくる本の英文を書いたのも同じ人(その女性も会場にいらしてました)。その後に本格的にBEYOOOOONDSに関わることに。
最初に関わったのが「LOVEオーディション」だったので、『LOVEペディア』では「LOVE」つながりを感じたとか。そのオーデで入った子たちの最初のMVにも関われて、運命を感じたそうです。ちなみに加入前のハロプロ研修生実力診断テストでは山﨑さんに投票しててそこでも思い入れがあったとか。
他には道重さんの『Loneliness Tokyo』や『OK!生きまくっちゃえ』、こぶしファクトリーのショートムービーなど。最近では鈴木愛理の『Break it Down』も。曰く「OGメンバーのMVはグループ卒業の先に夢が持てるものを作りたいと思った。衣装がめっちゃあるとか、海外ロケできるとか」とのこと。
直近ではこぶしファクトリーのラストシングルの2曲のアートワークとMVを担当されているそうです。こちらの公開も楽しみですね。
■『恋はアッチャアッチャ』公式アッチャアッチャ応援隊の衝撃
星部:「インドで一曲」という発注で、時間はかかった。
雨子:私にも「踊れるインドだからよろしく」と。「なぜインド?」とかはあまり考えないようにしました。
星部:納品してしばらくしたら謎の男Hさんの声が入ったトラックが送られてきて、「このおじさんが歌うから」と言われて大笑いしながらアレンジすることに。
北野:私への発注は「踊れる・インド・おじさん」で・・・。
でか美:なんか次々と被害者の会みたいになってますがw
北野:BEYOOOOONDSの打ち合わせの後に「残ってくれ」と言われて「なんだ?」と思ってたらこれのMVの話で。各グループからメンバーが出演すると聞いて『℃-ute』のラストのような感動的なものかと思いきや、wikiのページをプリントアウトしたものを出されて「このオジサンが出るから」と。でも結果一番目立ったのはたいせいさん。
橋本:あれを見て「やっぱりシャ乱Qはすごかったんだな」と。断るだろうなと思って(たいせいに)声をかけたら「やります!」って前のめりに返事が来た。
(ここでMVのプレゼン資料がモニターで公開。アレがアレ過ぎて内容は詳しく書けないけど、「インドと言えばカレー」とか「インドの雄・虎 タイガージェット・シン」などの文字が・・・)
北野:発注からヤバいとおもってたけど、深夜に中野のルノアールで作ったこの企画書を見返してやっぱり気が狂ってるなと。しかもその字コンテがほぼほぼそのまま通ってる。前述の女性スタッフから「モーニングみそ汁とかセカパカの反応がせっかく良かったのに、これで北野さんの評判が失墜してしまう」と本気で心配されました。
あと撮影の現場では最初 山木さんから「なんだこの不審なおじさんは」と怪しまれてたんですけど、道重さんの『Loneliness Tokyo』のMVを作った人だと紹介されてからの手の平の返しっぷりが凄かった(笑)。あとこの時の衣装を担当してたのはシャ乱の衣装を見てこの業界に入ろうと決意した人で、スケジュール的に厳しかったけど無理して空けて来てくれたのだという良いお話も。
BEYOOOOONDSの話題は次の更新でまとめて
■【参考映像】
映画『パラサイト 半地下の家族』
カンヌ映画祭でパルムドールを獲ったと話題になっていたので、『パラサイト 半地下の家族』(公式サイト)を吉祥寺オデヲンで見て来ました。私はあまり韓国映画をたくさん見てる人ではないのだけれど、そんな私でも本作を撮ったポン・ジュノ監督の作品は『殺人の追憶』、『グエムル』、『スノーピアサー』、『オクジャ』と4作も見ているから、それだけメジャーな作り手ということですな。
作品はとにかく映像として豊かで饒舌。アングル、カメラの上下の動きや画面の明暗、すべてが計算し尽くされていて、なおかつ象徴的な意味が込められています。物語の舞台こそミニマムですけど、映画言語による修辞を巧みに駆使した名文という感じで、この時点でそりゃあシネフィルからは高評価だよなと。そういうウェルメイドな土台の上に構築されているので、前半はある意味スプラスティックな展開でもあるんだけど、軽くもなり過ぎない。そう、このどっちに転んでもいいバランスが保たれている点が素晴らしいんですよ。
よく映画の宣伝文句で「衝撃の展開!」とか「予想不可能な大どんでん返し!」なんて謡われることがありますが、その多くは後出しジャンケンみたいなもので、映画そのものの面白さにあまり寄与してなかったりもします。そんな中で、本作の場合は後半のツイスト展開を経た時点で結末まで至るすべてのカードが出そろうので、結末への道筋は幾つも予想はできるんですよ。ただ、その考え得る結末が全員がハッピーな終わり方から、全員悲惨なものまで、幅がおそろしく広いし、そのどの道筋に行ってもおかしくない状態で話がどんどん進んでいくんですよね。どっちに転ぶのか、どの道筋に展開するのか、どれくらいのシリアス度で落着するのか。登場人物の倫理観はゆらゆらと揺らぎ、見ている側の感情も揺さぶられ続ける。その不安状態から徐々に、道筋の幅は狭まっていく。貧しい人が多くの選択肢を持たないのと同じように、意に反して理不尽に可能性は狭まっていく。そして些細ではあるけど、深く納得もできてしまう理由で、一つの結末に至る。うーん、やられた!
特に韓国映画の場合は「善人がハッピーエンド」とか「悪いヤツはひどい目に合って終わる」というような倫理収支にあまりこだわらない作品が多いので(だから後味が悪いこともある)、余計にどこに落着するのかわからない綱渡り感覚が強いように思いました。
あとは途中でジャンルを横断して展開していくので予定調和が通用しないというのも韓国映画に多い特徴なのかな。この映画で大富豪役をしてたイ・ソンギュンが主演をしてた『最後まで行く』もそんな感じでしたしね。
ミルクボーイ『BEYOOOOONDS』
なんかオカンが好きなグループがあるらしいんやけど、その名前をちょっと忘れたらし
くてね。
好きやのに名前がわからへんてどうなっとんねん。ほな俺がね、おかんの好きなグループを一緒に考えたげるから、どんな特徴を言ってたか教えてみてよぉ。
なんでもな、ストーリー仕立てのえらいコンセプチャルなアルバムを出したらしいねん。
BEYOOOOONDSやないかい。1stアルバム『BEYOOOOOND1St』は『眼鏡の男の子』から広がる世界観の曲を多数収録してんねん。そのせいもあって、全部の曲にセリフが入るえらい変わったアルバムになってるのよ。そらBEYOOOOONDSや。こんなんすぐわかったやん。
BEYOOOOONDSな。でもわからへんねん。
何がわからへんのよ。その特徴は完全にBEYOOOOONDSやんか。
俺もBEYOOOOONDSやと思ったんやけどな、なんでもだいぶ長いこと活動してるらしいねん。
ほなBEYOOOOONDSと違うか。BEYOOOOONDSは令和元年にデビューしたところやからね。この前のレコード大賞の最優秀新人賞獲ったばかりの新風世代のアイドルなんやから。そうしたらBEYOOOOONDSと違うかー。あれ、じゃあもうちょっと詳しく教えてくれるー?
そのアルバムを基にした演劇要素を取り入れたコンサートをしたそうやねん。
BEYOOOOONDSやないかい。1stアルバムをベースとしたコンサート『LIVE BEYOOOOOND1St』は、曲と曲の間に寸劇が散りばめられてるのよ。コンサートというよりかは一つの作品を見たような気持ちになるのよ。高瀬くるみさんもそう言ってたんやから。BEYOOOOONDSや、だから。
わからへんねんな、でも。
何がわからへんのよー?
俺もBEYOOOOONDSやと思ったんやけどな、おかんが言うにはな、アニメのテーマソングにもなってるらしいねん。
ほなBEYOOOOONDSちゃうかぁ。BEYOOOOONDSは世界観は強すぎて何かのテーマソングには合わへんのよ。むしろBEYOOOOONDSをアニメ化して欲しいくらいなんよ。あれ、じゃあもうちょっとなんか言ってなかったー?
なんでも、おかんが見た時にはメンバーの一人がキーボード弾いてたらしいねん。
BEYOOOOONDSやないかい。メンバーの小林萌花さんは音大生でピアノコンクールにも出たことがあるガチの実力者なんよ。会場によってはピアノ置けないこともあるけど、曲中でその腕前をよう披露してるがな。ダイバーシティ公演で弾いてたグランドピアノがガワだけ被せた電子ピアノやったらしいのには驚いたけども。あとたまにショルキーも弾いてます。
わからへんねんでも。
何がわからんのよー
俺もBEYOOOOONDSやと思ったんやけどな、オカンが言うにはソロ活動してるメンバーもおるらしいねん。
ほなBEYOOOOONDSと違うか。BEYOOOOONDSにはCHICA#TETSUと雨ノ森川海とオーディション組と中に3ユニットあるけど、今のところソロはないもんね。一岡さんの大井町線のアンバサダーのことをあんま「ソロ活動」とは言わへんもんね。ほなBEYOOOOONDSと違うかー。あれー? もうちょっと何か言ってなかったー?
なんでもTKサウンドの曲があるらしいねん。
そらBEYOOOOONDSやがな。『ニッポンノD・N・A!』は星部ショウさんがTKサウンドのコード進行をあえてそのまま取り入れた曲なんよ。サビの勢いとキャッチーさは抜群で、ハロプロ楽曲大賞でも2位になったんやから。あと間奏の未成年の主張のパートでみんなで「なーにー?」と叫ぶのがえらい楽しいんやから。
わからへんねんでも。
何がわからんのよー
いや、おかんが言うにはな、たまにメンバーの一人が手持ち無沙汰にしてるらしいねん
。
ほなBEYOOOOONDSとちゃうかぁ。BEYOOOOONDSはメンバーが12人もいるけど、それぞれ別の役割を持ってバラバラの振り付けをしたりしてて、全員目が離せないのよ。コンサートも12人それぞれ追いたいけど、目が追いつけへんのよ。ほなもうちょっと何か言ってなかったー?
なんでも眼鏡みたいなもんをかけてるメンバーがいたらしいんやわ。
そらBEYOOOOONDSやがな。代表曲『眼鏡の男の子』はタイトルの通り、眼鏡の男の子を前田こころちゃんが演じるのよ。あんな綺麗な子がカッコいい男の子になって、40過ぎたオジサンでも乙女の気持ちになってキュンキュンするのよ。そらもうBEYOOOOONDSで完全に決まりやがな。
でもな、オカンはBEYOOOOONDSじゃないって言うねん。
ほなBEYOOOOONDSじゃないやないかい。オカンがBEYOOOOONDSじゃないって言うならBEYOOOOONDSちゃうがな。先言えよー。俺がこころちゃんに関する性癖を暴露してる時どう思っててん
申し訳ないよ、だから
ホンマにわからへんやんー。どうなってんねんもう。
でオトンが言うにはな
ほう
TMネットワークやないかって
ん・・・・・・
それやがな! コンセプチャルなアルバムて『CAROL』のことやがな。そのアルバムを元に舞台要素を取り入れたコンサートも『CAROL』ツアーやがな。
ああ、そうか!
「TKサウンドの曲がある」とって、TKサウンドそのものやがな。ややこしいな。
オカンは木根尚登のことが好きやから
知らんがな。木根さんが作曲した『Come Back to ASIA』は名曲ですけども。ほなキーボード弾いたって言うのも小室哲也のことやんか。あと確かに何度もアニメのテーマソング歌ってます。
宇都宮隆はソロもやってるしね。
お前のオカンが言ってたこと全部当たってたがなー。ほな「眼鏡みたいなもんをかけてるメンバー」て・・・
サングラスした木根尚登やな。
そうやがなぁ。「手持無沙汰にしてるメンバー」も木根尚登のことやんか。お前のオカン、木根さん好きな割に手厳しいな。
そうやな。
あらぁ、完全にTMネットワークやったわー。