えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

少女たちの時間

昔は芸能界を辞めた人は山口百恵のように一切メディアに露出しなくなることも当たり前でしたが、SNSで個人が発信することが当たり前になった昨今では、ハロプロを卒業したり研修生を辞めた子の今の姿をネットで目にする機会も増えました。そこで気が付くのは、辞めた子がアッという間に垢抜けて綺麗なお姉さんに変貌してしまうこと。それを見ると、ハロのメンバーたちを現状に押し留めている無形の力に思いを馳せてしまいます。

 

もちろん「アイドルファンはロリコンだから」という身も蓋もない側面もあるでしょうが、それだけじゃなくて! これは、大人であるファンの側の時間感覚と年頃の女の子であるメンバーたちの時間間隔が違い過ぎるというのが一つの要因だと思うんですよね。だってとうの昔に青春時代を卒業した大人である我々は、若い子に対して気軽に「もうしばらく今のままでいて欲しい。今のままの君を見たい」と願うものじゃないですか。しかもここで言う「もうしばらく」は数年単位だったりします。だけど、少女たちが感じている日々のスピード感や焦燥感の中では、それは400m走を全力疾走してる途中で「5秒間息を止めて」と言われるのに等しいのかも。そこには絶望的なまでの感覚の断絶があり、悪意なんてなくても、ファンの無邪気な願いが息苦しい抑圧となることもあるわけです。

(笠原さんが濃いリップをつけた時に一部のファンから「大人っぽ過ぎる」なんて非難されたことがありましたが、あれもその一種でしょう。)

 

だけどアイドルが「過ぎ去った青春を幻視したい」というニーズに応えるジャンルでもある以上、その「時間感覚の違い」はもうファンとアイドルの関係性に織り込み済みのもので、彼女たちに向けた視線が抑圧を生んでしまうのは、ファンにとっての避け得ない「原罪」みたいなものです。それを完全に捨て去ることはできない。だけど、だからこそせめて、自覚的でいたいのです。

 

彼女たちが現役の間は了承済みの関係でもあるのでしょう。しかしひとたび彼女たちが自分の力で飛び立とうと決断した時には、ファンはすがりついて押し留めるのではなく、感謝と祝福で送り出さねばならないと思っています。