アーティストの政治的発現関連で思い出したけど、モーニング娘。も2003年の自衛官募集ポスターに起用されたことがありました。
「一生懸命っていい感じ。 GO! GO! PEACE!」という『ザ☆ピ〜ス』と『恋レボ』の歌詞をもじったキャッチでした
私はこれに反対の立場でした。イズムの問題はどちらかの側につけば片方から拒絶されてしまうからです。もちろん「国家にとって防衛力は必須の要素でありそれはイズムが問われる案件ではない」とおっしゃる方もいるでしょう。というか私自身もそう思っております。しかしその存在自体からして反対という思想の人がいることも事実です。当時は今以上に多かったと記憶しています。
とにかく、そこに対立がある限り娘。はその片側に立つべきではないというのが私の意見でした。モーニング娘。には誰もが愛せる常に普遍的な存在であって欲しい。もっと簡単に言うと、モーニング娘。が自衛隊のポスターに採用されることで左翼の人たちが彼女たちを楽しめなくなったら、左翼があまりに可哀想じゃないかと思ったのです。
そのへんの自覚は事務所にもあったようで、官庁にはコミットしておきたいけど、政治的リスクは避けたいと思いあぐねていたのでしょう。結果的には「撮り下ろしはせず既存の写真を使うだけ」というのはそういう落とし所に落ち着いたようです。だからまぁ、ご覧のとおり募集ポスターとしてはなんとも微妙な訴求力のない仕上がりに…。どんなことでも政治的な「事情」ばかりが前面に立った作品はダメダメだという証でもあります。