えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

現在のアイドルとそのファンの姿

その昔、山口百恵松田聖子の時代はアイドルは一般人からは果てしなく遠い存在であって、ファンとの直接の関わりは無いものとして扱われていました。アイドルの歌披露の合間に客席で応援してる特攻服の「親衛隊」が映し出される事はありましたが、それに対してアイドル側がどう認識しているのかなどが映し出されたり、語られることはありませんでした。コンサートに足を運ぶような熱心なファンも、テレビで見て応援している人も、等しく「ファンの皆さん」だったわけです。(現場はともかくテレビが切り取るシーンとしては)


それから時代は変わって、今はコメントを送ることもできるblogや、握手会など直接会える機会も多く、アイドルとファンの距離は急速に縮まっています。演者とファンは互いを認識し合った一つの共同体を形成していると言ってもいいでしょう。しかしメディアの取り上げ方はこの変化には対応しておらず、アイドルファンを取り上げるとなれば、ヲタ芸を打ったり、握手のために何百枚とCDを買うような突出した人をクローズアップするなど、その中の偏って突出した部分ばかりを面白おかしく取り上げて来たように思うのです。


そんな中で今回のドッキリ企画は、今の時代に即したアイドルとファンの関係のスタンダードかつあるべき姿を見せてくれたと思うのです。もちろん、おそろいのハチマキなどで外見的には多少TV向けにデフォルメされてはいました。でもそこには奇異な人間を晒し上げようとするような意図は感じられませんでした。ただただファンはアイドルを全力で応援し、彼らを前にアイドルは全力で歌って踊る… シンプルで当たり前の両者の関係をありのままの姿で映してくれたと思うのです。そしてそこから伝わる人には伝わったのは、アイドルとファンの間の信頼関係。先に上げた藤田朋子さんのblogでもまさにそのことについて語られていますし、アライブモーニングさんでも触れられていますね。しっかりとした歌を披露した小田ちゃんの


「起きたら屋根が上がって……でもファンの人たちがいるところだから行ってもいいところだと思った」
(先の参加者レポより)


という言葉なんて泣かせるじゃありませんか。ただでさえ思春期の女の子です。人の悪意には警戒してなきゃいけない年頃ですし、まして芸能人で、なおかつゴシップ事件を起こした先輩の叩かれ様を横目で見ているとなれば、人一倍周囲を警戒し、世界の悪意に対して怯えていてもおかしくないはずなんです。それを「ファンがいる所なら大丈夫」 そんな風に信頼してくれているなんて!


少女たちの多感な時代を食い物にしているわけではない。馬鹿な大人たちを金づるとして搾取しているのでもない。ステージ上のアイドルと、客席を埋めるヲタ、それらが一体となって最高の瞬間が生み出されることがあり、アイドルもファンもその一員でいられることに無上の歓びを感じています。そういうアイドルとファンが生み出す幸せな空間を見せることができたという点でも、非常に稀有で素晴らしい番組であったと思うのです。