えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

重責

そんなプレッシャーの話。どの出演者も紅白では緊張したと語っていますが、その中でも格別の重責を感じていただろう出演者は水樹奈々と嵐ではなかったでしょうか。


今年の音楽業界の動静としてアニソンの相対的な順位上昇がいよいよ無視できないものとなり、これに対応して設けられたであろう「アニソン枠」。水樹奈々は水樹本人であると同時にアニソンシンガー代表であり、声優歌手代表でもあったわけです。最悪、彼女の出番がお寒い状況であったら、「しょせんはアニソンだな」と来年以降はそのアニソン枠は切り捨てられてしまうかもしれない。そんな風に、あの舞台の上で彼女は自分が所属する世界への評価と責任を背負うこととなったのです。


一方、紅白初出場となった嵐は、今年の目玉演目としてNHKサイドから熱いラブコールを受けての出演だったと言われています。実際それに対し、彼らが所属するジャニーズ事務所は嵐出演のバーターとしてNYC Boysから子供演目枠でのジャニーズJrたちまで、押し込めるだけ押し込んだように見受けられました。強いカードを握っている時にはやれるだけのことをやる。それもまたジャニーズのような剛腕政権としては正しい営業姿勢と言えましょう。しかしその強引さが成立するのは、「やはり無理を飲んでも出てもらって良かった」と、その強引な押し込みに引き換えるだけの価値があるステージを保証するからです。事務所の姿勢への評価がどうあれ、嵐はその過剰に上がったハードルを超えてみせなければならない。その双肩には何十年と続いて来たジャニーズ王国の威信と後輩たちの未来がかかっていたわけですよ。


そして両者はそういった自分以外の世界を背負う重圧を見事はねのけ、素晴らしいステージを披露してくれました。共に10年近いキャリアを持つ二組です。そこには自らの軌跡への矜持と、重圧のかかったステージすら楽しんでみせる芯の強さを感じました。


他人の何かを背負うことは面倒なものですが、人が人に関わって生きていく以上、大きく成長するつもりならどこかで「ドンと来い!」と背負わねばならないものなのでしょう。私はやりたい仕事に就いていますし、そこそこ順調ではありますが、それでもどこか飛躍が足りないのは、そういう他人との関わりをできるだけ避ける道を選んで来た結果だと思っています。自分自身のためだと、自分のキャパシティまでの結果しか出せないものです。


とても「自由」ではあるんですけどね。
それは必ずしも幸せの総量と比例するわけじゃない。


水樹奈々の紅白日記 1234567
(関連:ラモス「日の丸――。最高だ。こんなに美しい国旗、他にないよ。」