えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

MUSIC JAPAN

MUSIC JAPAN』の紅白決定SPで、紅白決定の報を聞く水樹奈々を見る。一歩一歩順当に上りつめた道とは言え、「あと2年早ければ」という想いも当然あるだろう。父親が生きているうちに晴れ姿を見せたかった、と。それは無念ではある。しかしそういった無念がなく、伏線がすべてとどこおりなく回収されるような人生が素晴らしいものとは限らない。さまざまな無念、さまざまな不条理を内包しつつ、それでもなお人生は美しいと、そう言えるのが真の人間賛歌なのだろう。


佐藤賢一が描く歴史小説の面白さは、一つはそこにある。史実をベースとしているために、時としてストーリーテリングの定石を遥かに超えた不条理や理不尽が登場人物たちの前に立ち塞がり、時にそれは不条理として残されたまま物語/人生は進んでいく。中には無念の死を迎えて終わることすらある。自分ではどうしようもないものを含む人生を、自らの意志で能動的に生きる姿を描く、そんな単純なところに 佐藤賢一が描く芯の太い物語の魅力はあるように思う。