コメントレス
>はぴないさん
>一番好きな本(作家でも可)は何ですか?
一番好きな作家さんは佐藤賢一かなぁ。
佐藤賢一の小説は作品全体がとてもシンプルな行動原理で貫かれていて、明快なのに玄妙、一本気で誇り高く、猥雑なのに、愛しいという、例えて言うなら屹立する男根のような小説だと思っております。男根的というと父権主義的/マチズム的な印象を持たれるのかもしれませんが、真の男根とは乙女のようにナイーブで、誰よりも優しいものだと思っております。 短編・中編も悪くはないんだけど、やっぱりガッツリ長い長編の方がこの作者の作風には合ってるかと。歴史ものが多く、しかも一般的に知られた人物像から外れたキャラクター作りをしてくるので(例えば英雄の代名詞である帝政ローマの祖シーザーをヘタレ中年にしたり)、ある程度は一般的評価を知った上で読んだ方がその外し具合と歴史的事実とのすり合わせの妙を楽しめると思います。「中年以降の男性が青春時代に失ったものを取り戻し人間復興を遂げる」といったテーマが多いかな。今まで読んだのは以下の通り。『三銃士』が好きな人には『二人のガスコン』から入るのがオススメ。
『双頭の鷲』 ★★★★★
『二人のガスコン』★★★★★
『カルチェ・ラタン』 ★★★★★
『カエサルを撃て』★★★★★
『王妃の離婚』★★★★☆
『カポネ』 ★★★★
『傭兵ピエール』 ★★★★
『剣闘士スパルタクス』★★★★
『女信長』★★★☆
『褐色の文豪』★★★☆
『アメリカ第二次南北戦争』★★★☆
『ジャガーになった男』★★★☆
『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』★★★
『黒い悪魔』 ★★★
『赤目のジャック』★★★
『オクシタニア』 ★★☆
あとホラー小説では貴志祐介の『天使の囀り』と中島らもの『ガラダの豚』が双璧。「他者の介入によって人格が壊れる」ことの描写がとにかく怖い。
最近のライト系だと桜庭一樹が一番のお気に入りです。まぁ、もう全然「ライト系」じゃないんだけど。「文学」に突入して以降の作品ももちろん好きなのですが、一応は「ライトノベル」の範疇にギリギリ収まってる『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』ぐらいの作品が、ジャンル的に要求される平易さ、内容の深さ、分量などのバランスが奇跡的に素晴らしく、商品/作品としての完成度では後の直木賞受賞作にも決して劣ってはいないと思っています。気軽に何回も読めるってのもあるしね。
漫画家で好きなのは数え上げたらキリがありませんが、『寄生獣』の岩明均と、『パーム』シリーズの獣木野生(伸たまき)は自分的には特別な作家です。