えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

 
『少女不十分』 (西尾維新講談社
帯には「この本を書くのに10年かかった」と大きくキャッチコピーが記されていますが、それもまたギミックの一つであり、まさに10年の小説家生活を活用した内容となっています。いかにも「ライトノベル」な題材やルックスで導入しておいて、普遍を目指した内容で落着させるというのは、ここ最近の西尾維新に共通する姿勢のようですね。そういった作劇の構成上で、意図的に「ライトノベル寄り」で描写されている部分が、あくまでフリに過ぎないのに、ライトノベルとして魅力的過ぎて困る。多分、「小学生女子」「アルトリコーダー」という二つの単語からオタクが想定し得る最上のストーリーを提供していると確信できます。


こういったライトノベル成分を正面から提供することもできるし、逆手に取ることもできる…。芸の深い・業の深い作家さんであります。


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『恥知らずのパープルヘイズ』 (上遠野浩平集英社
JOJOの奇妙な冒険』第5部に登場したパンナコッタ・フーゴにスポットを当てた小説。ブチャラティたちと袂を分かったフーゴのその後の物語。


ノベライズ担当は『ブギーポップは笑わない』などで知られる上遠野浩平。正直言うと、本編のおさらいやキャラクターの借用が多いので、確かに『JOJO』に則した内容ではあります。だけどノベライズとして無難に過ぎるという気も。率直に言うと、「これじゃあ上遠野浩平じゃなくても良かったんじゃね?」というところ。そういった意味では乙一要素と『JOJO』要素が白熱のせめぎ合いを演じていた『THE BOOK』の方が、リアルタイムで『JOJO』を読んでた時の興奮に近かったと思います。


スタンドバトルもやり取りが一往復で終わっちゃっててアッサリし過ぎなんですよね。相手の能力を突きとめるまで、そしてそれをどう克服するか、もっとねちっこく描写して欲しかった。なんか週刊連載で言うと1週分で1バトルが終わっちゃってる。


ちなみに乙一の『THE BOOK』についてはここの11月29日分の日記で詳しく触れています。