えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

 
   

  

小説フランス革命
『革命の獅子』、『バスティーユ陥落』、『聖者の戦い』、『議会の迷走』、『王の逃亡』、『フイヤン派の野望』
 佐藤賢一集英社


西洋史小説を書き続けている佐藤賢一によるライフワーク・『小説フランス革命』がついに完結した! と思って喜び勇んで読んだら、実はまだ第一部完結だった。第二部は来年以降刊行らしい。ええー。私は小説は完結してからまとめてガーッと読みたい人なのに! ダラダラ刊行するのを年単位で待つのは、もう学生時代の田中芳樹火浦功で凝りてるのに!


議会随一の弁舌家であり革命の獅子と謳われた大人物ミラボー、革命成就の理想に燃える清廉な左派議員ロベスピエール、市民の蜂起を先導した市井の活動家デムーラン、張りぼての英雄ラ・ファイエットなどと、日本における幕末時代のように、さまざまな思想や立場を持った個性溢れる英傑たちが、大きな時代のうねりの中で時に協力し、時に対立する群像劇として描かれるフランス革命


現代日本の政治の根幹を成す「議会制民主主義」の原型の成立過程であるからには、現代政治の相似形としても大変興味深い(そもそも右翼・左翼といった名称もこの頃の憲法制定国民議会の座席位置が語源だし)。採決の鍵を握るマジョリティが、頑迷な右派や、頭でっかちで融通に欠ける左派ではなく、既得権益の護持しか頭にない中道ブルジョアであることだったり、政争に勝って与党となった一派が現実的な実行力には欠けて事態が停滞してしまうことだったりと、ともかく今に通じる政治風景が散見され、しかも黎明期であるからには、それらの核心がより明瞭であったりする。今に続く政治要素のルーツを知ることで、現在に対する認識も一段深めることができ…るような気にはなれます。