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ちなみに福井晴敏氏は以前に『∀ガンダム』のノベライズも手がけていますが、乱歩賞獲った後とは言え、作家としてのステイタスが確立される以前のことと判断して一応今回の例からは除外しました。
かつて福井晴敏氏にインタビューした際、乱歩賞の受賞の直後に『∀ガンダム』のノベライズを手がけたことに関して、業界からは不思議に思われたことを語られていました。周囲の文芸人からすれば
「賞まで獲ったのになぜアニメのノベライズなんかを？」
というわけです。しかし本人としては
「だってガンダムだよ？ （そりゃやるでしょ！）」
という気持ちだったそうで（ｗ
氏は「賞を獲っても小説家として食っていけるわけではない」という文芸界の閉塞状況を冷徹に分析し、むしろガンダムとの関わりはその突破口になり得ると考えたそうです。その作品『∀ガンダム』自体は名作ではあるものの大ヒットはしませんでしたが、その後の『亡国のイージス』や『終戦のローレライ』が、映画化も含めて大ヒットとなったことは記憶に新しいでしょう。文芸という閉鎖空間に留まらず、積極的に世相や政治問題、他メディアとコミットしようとする氏の姿勢の結実であろうと思います。
