『25〜ヴァンサンク〜』

なっちの曲って大きく２系統あって、一つは『あなた色』とか『甘すぎた果実』といった古臭くて大仰な歌謡曲路線。その唐突さとわざとらしさがなっちのうさん臭さとナイスマッチ。あんまり音楽的に評価されることはないんだけど、キワモノ食いの私には大好物なんですよね。あくまでジャンクフードなんだけど、たまにむしょ〜〜に食べたくなるじゃない？　ドギツい味のジャンクフードって。

もう一系統は『トウモロコシと空と風』とか『せんこう花火』といった良曲路線。こっちは有機野菜だけで作った、心から温まりそうな素朴な味わいの郷土料理を思わせます。ただ、天然素材は体には良さそうなんだけど、ちょっとフォーマルな場所に出すには「華」が足りないって言うか、物足りなさを感じたりします。

そこで欲しい華ってのが河野伸フィーリングというか、デジタルになり過ぎず、生っぽい肌理を感じさせるあの疾走感なんじゃないかって思ってたんですね。『真夏の光線』みたいな。かなりアレンジに頼る部分だと思うんだけど。で、『25〜ヴァンサンク〜』のアルバム曲は編曲者クレジット見ても今までハロプロであんまりやってない人ばっかなんですけど、どれもその辺が良いのですよ。作曲もつんく♂じゃなくって、これが大当たり。「結局今まではつんく♂とつんく♂人脈に頼った音作りが悪かったんじゃねーの？」と思わず考えてしまったくらいに。

どれもいいけど、華と疾走感でやっぱ『くちびるで止めて』が好きです。

とにかく、これだけどれもコンスタントに良いと、「これはi-Tune storeじゃなくてCDで買っとけば良かったな」って気持ちに久しぶりになりました。これから買う人はＣＤをオススメします。