読了
『ミシン』 (嶽本野ばら:小学館文庫)
デビュー作となった『ミシン』と映画化もされた『世界の終わりという名の雑貨店』の2作を収録。いずれも初期作品だが、その後の作品にも通底するファクターの核となる部分が見え、『エミリー』と共に作者の原風景とでも言うべきものが見てとれる。しかし「むき出し」と呼ぶには既に洗練され過ぎている気もする。耽溺しながらも、きちんと見せ方をプロデュースしているのは、技術以上に美意識の為せる技か。
『エミリー』ともどもかなり好きになった作品。収録された2作にそれぞれに続編があるらしいので、そちらも読んでみたい。ちなみに『世界の終わり〜』はネット上の評判を見る限りでは、高橋マリ子が抜群に美しいということを除けば割とガッカリな感じの映画化だったようだ。