BEYOOOOONDSのメジャーデビューシングルのトリプルA面となる『眼鏡の男の子』、『ニッポンノD・N・A!』、『Go Waist』のMVが同時公開されました。どれも可愛くて面白くって最高!!!! 最高のプロダクトがデビューへの勢いをますます加速させてくれています。
実際のところ「日本一スカートが短い」みたいなわかりやすいキャッチフレーズがあるわけでもなく、「●●っぽい」と言えるロールモデルとなる先行類似品もないのに、楽曲やMVにちゃんと一貫した「BEYOOOOONDSらしさ」が感じられるのは素晴らしいと思います。
しかも、じゃあその「BEYOOOOONDSらしさ」って何かと振り返れば、全部グループ名に体現されているんですよね。
・軽やかに超えていく(意味)
・響きが何やら楽しい(音)
・どう見ても様子がおかしい(外見)
今に至る方向性が1ミリもブレずに詰まってる。改めてこのグループ名考えた人 天才では?
■最高のタイミング
アイドルを見る上で極めて重要な切り口である「物語性」と「スキル」において、前者は和田彩花さんと宮崎由加さんの卒業によって、後者はJuice=Juiceの『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』によって、ハロプロは現状での一つの頂点を迎えてみせたと思うんです。普通だったら、どうやってもその直後は一旦はテンションが落ちるもの。新人が加入してグループの一体感もスキルの平均値も一時は後退せざるを得ないとなればなおさらです。
しかしそんな状況でBEYOOOOONDSは、「念願のデビュー」という慶事と、何より「面白さ」「おかしさ」というこれまでとは別角度の魅力を提示して、私たちの目先を変えてくれました。もしかしたら誰かにとって寂しい季節だったかもしれない今を、ただただ笑えて最高に楽しい毎日にしてくれたのです。ですから、このタイミングでのデビューは、BEYOOOOONDSにとってだけでなく、ハロプロ全体をも資する最高のタイミングだったと思っています。
■物語を否定しつつ物語る
当初私は一岡さん・高瀬さん・清野さんがデビューを告知されてから1年以上塩漬け状態だったことに不信感を抱いていました。だってアイドルにとって10代の一年がどれほど貴重な時間か。放置された本人たちの不安はいかばかりか。メジャーデビューを告げられた瞬間「長かった・・・」と泣き崩れる高瀬さんの姿を見た時には事務所への怒りさえ沸いたほどです。
ですが、前述のようにこのタイミングこそ最高で、このタイミングでなければならない運命だったんだなって今では思っています。
塩漬け期間の彼女たちの苦しみに対し、それが必要だったと安易に肯定もしたくはないし、“報われた”という表現も気安くは使いたくはない。それは彼女たちの生の痛みを物語性に回収し、その人生を物語に隷属させるというある意味傲慢な行為ですから。
(その傲慢さがアイドルを語る上での避け得ぬ原罪だとしても)
でも・・・
それでもきっと、彼女たちにとって、BEYOOOOONDSというグループにとって、そしてその母体となったハロー!プロジェクトにとって、ここしかないというタイミングとなるよう、何かに導かれ、誰かが願い、そして関わるすべての人が持てる力を尽くした結果だったのだと、今は前向きに信じられます。