えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『池袋ウェストゲートパーク 灰色のピーターパン』  石田衣良:文春文庫)
人の行動を方向づける要素は大きく分けて二つ。「うつろう気分」 と 「揺るがぬ理念」。こう書くと一方的に前者はダメみたいだけど、実際は「揺るがぬ理念」だけでは、硬直を招き、変化する実情に対応できずに停滞してしまう可能性がある。両者を革新と保守と言い換えてもいいが、人はそれを両方バランス良く持つ必要があると思う。


そういう点で言うと、石田は前者に偏っている。だから都会に生きる現代人やストリートの「今」の空気を切り取り、お堅い人にもわかる言葉に翻訳するのが上手い。だけど本来、人は気分だけでは自堕落な方向に流されてしまうもんだ。キャバクラで働くことのハードルが再現なく下がり続けているように。そういう面に関して、石田は楽観的すぎると思う。