えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『黒い悪魔』、『褐色の文豪』、『象牙色の賢者』  佐藤賢一文藝春秋

  


没落貴族と南米の黒人農奴との間に生まれ、自らの強靭な肉体への信仰を支えに将軍の地位まで上り詰めた、「黒い悪魔」こと初代トマ=アレクサンドル・デュマ


自らの出自への矜持と、強靭さも1/4の褐色にまで薄まったという劣等感を抱えた文豪たる二代目アレクサンドル・デュマ・ペール。亡き父への憧憬を作品に込め、『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』といった大衆娯楽小説の大ヒット作を世に送り出し、一時期その版権収入はパリ市の予算にも匹敵すると語られた。しかし一方で浪費や政治活動を繰り返し破産までしているという破格の人物。


父への憧れと自身を私生児の身においたという反発を抱え、父と同じ文壇を志し、『椿姫』や多くの戯曲を成功させ、レジオン・ドヌール勲章を受賞、アカデミー・フランセーズ入りを果たすという文化人として最高の栄誉を得た三代目アレクサンドル・デュマ・フェス。



フランス革命第一共和政第一帝政復古王政七月王政第二帝政第二共和政というフランスにおけるもっと熱い激動の時代を背景とし、まさにその時代の熱気を受けて勇躍した三代のアレクサンドル・デュマの物語。西洋史小説家たる佐藤賢一の本領たる堂々の三部作。