えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

失言辞任

松本龍氏が先の宮城県知事に対する無礼な言動を受けて辞任しましたね。本来的には「失言→辞任」の流れはあまり好きではないのです。政治が言葉尻を捕えた揚げ足取り合戦の場になったら、言論が委縮するから。あと見苦しいし。「失礼だけど女性を産む機械に例えると…」を「『女性は産む機械だ』なんてけしからん!」と糾弾するに至っては、ヤクザの言いがかり以下ですからね。でも今回の事件の場合は、発言の内容というよりも、そこから見て取れる姿勢とか人格があまりにひどいと問題視されてのことだと思うので、ご本人の政治家としての適性は存じ上げないのでアレですが、心情的にはどうぞお辞めになって下さいという所です。そんなことしてる場合か、とぼやきつつも…。


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HEY!HEY!HEY!

『HEY!HEY!HEY!』で見たNMB48さんの新曲だけど、どうも『セーラー服を脱がさないで』とか『JK眠り姫』とかと同じの、嫌な方向の秋元臭を感じちゃうんだな…。なんつーか、倫理観をグズグズにして女子高生を「マーケット」に送り出す感じというか、「黒髪だから市場価値高いでしょ!」みたいな感じっつーか…。トークでは嗣永桃子さんの果敢なブッ込みぶりが際立ってました。相変わらず素敵です。


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読了


『リアル・シンデレラ』 姫野カオルコ・光文社)
寓話・シンデレラにおいて、主人公であるシンデレラと、彼女をいじめる継母や姉は実は同じ価値観を共有している。すなわち、より裕福となること、よりステイタスを得ることを幸福の指標としている。同じ土俵であるが故にそこに勝負が成立し、勝敗が決する。敗者をより惨めに描くほど、勝者の逆転劇はより鮮明に際立つ。改めて指摘されれば、現在の多くの物語もこの構造から逃れてはいないことに気付かされる。


ところが本書の場合、ヒロインとその周囲の人間は価値観を共有していない。両者はねじれ関係にあり、よって片方が勝者となっても、片方が敗者であるということにはならない。読んでいるとこのヒロインが幸せであると感じるかどうかという問いが常に発せられている気がし、それを検討する過程で、自分の価値観と客観的に対面することに誘導されてしまう。そしてそれを揺さぶられる。


加えて興味深いのはこのヒロインの外見に対する評価までが、彼女を見る作中人物の価値観によって大きく異なるということだ。ヒロインはある価値観の人々からは地味と評価され、もう一方の価値観群からは「泉のように魅力が溢れ出す美人」と評価される。ルックスの美醜は恋愛市場にいる女性にとってかなり支配的に働くであろう要素だ。作者はこれすらも判断材料とならないように、無効化しているのである。



「自己の延長」としてではなく、真に他者を知ること。すなわち自分とは異なる価値観を持つ「他人」を、他人として知ること−−交流の原点であるその行為そのものがいかにドラマチックであるかを、本書は改めて気付かせてくれたように思えた。