えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

貫井徳郎

で、借りてきた『愚行録』が異様に面白くて、昨日は忙しいのに寝ずに読んでしまいました。ある登場人物の女性の、周囲への影響の与え方、誘導の仕方がハンパなくて。


一家四人惨殺事件を追ってルポライターが被害者と親交があった人々に話を聞いて回るという体裁なんだけど、被害者家族の奥さんの大学時代の話が印象的で。舞台は外部生と内部生の間にヒエラルキーの格差がある大学で、内部生の方が洗練されていて金持ちが多いんです。その女性は容姿や家柄が認められ外部生から内部生グループに「昇格」したクチなんだけど、内部生に取り入りたい外部生が取り巻きとして集まってるんですね。ほんでその中からプライドの高かった地方出身のお嬢様を内部生の代返係にしたり、自分の地位を脅かす可能性があるルックスの点で拮抗していた子を、内部生から「公衆便所」と呼ばれる位置にまで貶めたり。しかもそれを本人が望んでそうなるところまで誘導するのが、怖い。怖過ぎる! 相手の人格を丸ごと変えるんじゃなくて、なんか思考回路の配線を一つ組み替えるだけで、人格はそのままにそこまで違う人間にしてしまうのかってのが……。 こえぇよ。


ちなみに『夜想』はパタリパタリと丁寧に話を畳んで、最終的に小さな三角形のピースになったものが、物語を読んで読み手の内側にできた絵の空いた部分に最期のワンピースとしてピタリとはまり込むような感触でした。