アニメ『Wake Up Girls!』は流行りのグループアイドルを題材とした作品で、元京アニの山本寛氏が監督をしていることでも知られる作品です。弱小事務所に所属するご当地アイドルがトップアイドルを目指して頑張るというショービズ・サクセス・ストーリーですね。で、何人かいるメンバーの中で「まゆしぃ」という渾名の子がメインヒロインなんですが、この子は最大手アイドルグループのセンターを務めていたという経歴の持ち主で、何か事情があってそこを辞めて『Wake Up Girls!』で再起を図っているという設定だったんです(野球マンガの『キャプテン』みたいだな…)。で、その事情に関しては長らく明かさずにひっぱってきたんですが、今週の放送回で辞めた理由がついに判明しました。それは、同じグループに所属する仲間が彼氏バレで解雇されたことを運営に「アイドルだって人間です! 恋ぐらいします!」と抗議をしたら「人間である前にアイドルなんだよ」って言われたことに反発して、それを切っ掛けにいろいろあって辞めたということでして、率直に良い運営だなって思いましたw
いや、劇中ではこの大手運営は「アイドルを人間扱いしない悪人」として描かれてるんですよ。だからヒロインの子も「人間である前にアイドルなんだよ」と言われた後に「アイドルである前に人間です!」って言い返すんだけど、いやいや待てと。実際 アイドルに彼氏がいることが確定したらどう考えてもそのメンバーの人気は出ないだろうし、さらに彼氏が許容されてたら、他のメンバーも「じゃあ私だって」って考える子も出るでしょう。またファンたら見たら「あの子にいるなら他の子もいるかも…」って具合に疑念はグループ全体に広がってグループ全体にめちゃめちゃ悪影響が出るはず。どう考えても運営の判断は順当なものです。
この作品、『アイドル@マスター』とか『ラブライブ!』といったグループアイドルものアニメの中では、業界ゴロに騙されてのドサ回りの営業とか、彼氏バレ解雇とか、ネットでのアンチとか、そういう泥臭い部分・ゲスい部分に触れてるけど、踏み込みがハンパなんですよね。そこ描くなら「メンバーの昔の仲間に彼氏が」とかじゃなくてメインキャラに彼氏がいてグループ内で紛糾するぐらいにいかないと「トピックとして扱っただけ」にしかなりません。
なんかトピックとして裏側を描写するほどアイドルとしてのキラキラ感が薄れていく感じなんですよね。そして人間ドラマとして見るにはツッコミが足らず表層的、という何とも言えない塩梅にまとまっております。いや、前事務所との対比として今のメンバーに彼氏ができて今の人情派事務所はどうすんだって展開にこれからなるのかもしれませんけどね。そうなったらドラマとしては面白くなるかもしれないけど、CD商品とかの売れ行きはどうなるのかってのは気になる所ですね。やっぱりアニメでもメンバーに彼氏ができたらCD売り上げは落ちるのか。ちょっと実験してみて欲しいところではあります。
ちなみに今は声優さん達もアイドルと変わらないぐらいに彼氏バレしたらさんざファンから叩かれるわけですが、実際に声優さんたちはどう思いながらこのあたりの下りを演じてるのでしょうね……。
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