『どうしようもない恋の唄』 (草凪優:祥伝社文庫)
帯に「この文庫がすごい! 大賞2010」と書かれてると思って買ったんだけど、よく見たら「この官能文庫がすごい! 大賞2010」だったw せっかく買ったんだからと、ちゃんと全部読みましたよ。
や、普通に小説として面白かったです(^^;)。
ちゃんと一人の男の生き様を追いつつ、その男から見た一人の女を描いてる。そして大切なのは、そうやってちゃんとした筋立てがあった上で、多彩な性交シチュエーションが差し挟まって来ること。ストーリー上での必然性があり、なおかつ、相手やシチュエーションにバリエーションがある。それにちゃんとヤラシイ。こんなHしてみたいと思わせる描写になってる。なんと言うか、ストーリーもちゃんとあった上で要所要所で戦闘シーンが入って来る王道バトルマンガみたいな感じと言えばご理解頂けるでしょうか。最後のHもなんか「最終決戦感」があったしね。
題材も手法も自由な「文学」よりは、こういうジャンルノベルとしての必須課題・制約があった上での創作の方が、個人的には好きかもしれません。
歴史上の人物を題材とした小説が好きなのもそこで、やっぱり「歴史的事実」という筋書き上動かせない制約があるからこそ、そこにどう辿りつかせるのか、それをどう解釈するのかが面白い。そこで事実を捻じ曲げてストーリーを自由に作っちゃうと興醒めなんでね。