えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『借りぐらしのアリエッティ』

私の小学校3年生時の担任の篠原先生は、世界児童文学シリーズをクラス全員に配ってくれたんです。ほんで1週間で渡された本を順に回していくのね。でも別に読書感想文を書くとかいった課題はないんです。それが良かったんでしょうね。強制されないから、純粋に楽しめた。私に読書の習慣がついたのは篠原先生のおかげですよ。で、私なんか渡されると一気に読むもんだから最初の3日で読めてしまうわけです。もう次のが待ち切れなくて、同じく読書好きで3日で読んでしまう美希ちゃんとこっそり交換したりして。そう、思えばあれば私の初めての…。いやいや脱線しました。で、その読書で一番最初に私が渡されたのがメアリー・ノートンの『床下の小人たち』…すなわち、この映画の原作だったわけです。ジブリがどうの以前にこりゃあもう観るしかないですよね。


そういう目線で見ているからね、やっぱり床下の生活描写・映像化っていう部分はすごく楽しめました。この物語の中で、床下の小人たちは人間からさまざまなものを気づかれないぐらい少しずつ借りて生活しています(まぁ、返すわけじゃないから、厳密には盗んでいるんだけど)。で、「借り」に出かけるのは、小人たちにとってはかなりの冒険なわけですよ。冒頭でアリエッティがお父さんについて行って初めての「借り」に出かけるシーンがあるんですけど、そこでのお父さんがめちゃくちゃカッコいいんですよ! 淀みない足取りで進み、テキパキと作業を進め、釣針と釣り糸をザイル代わりにランペリングで戸棚から降り、セロハンテープで作ったマジックハンドで机を登る…。それを見てアリエッティが「お父さん、すごい…」って呟くんだけど、観てる人もみんな思ったもんね。「お父さん、すごい…」って。


とにかく最初に登場人物たちの日々の生活の中で体を動かして体感する部分をしっかり見せられると、キャラクターにしっかり命が宿りますよね。そのあたりが作者の頭ん中だけで作られたような、最近の中二アニメとジブリ作品の決定的な違いの一つだと思いました。


作品としては正直ちょっとボリューム不足な気がしました。『となりのトトロ』で例えると、メイちゃんが行方不明になるエピソードがない感じ。起承転結の「転」が転がり切らずに結になっちゃったような感じです。モチベーションがどこにあるのかよくわからないキャラがいたりして、消化不良というか、腑に落ちない感じは残るかもしれません。




篠原先生の音楽の時間は、先生がフォークギターをかき鳴らして、みんながひたすら大声で歌うというもの。歌を歌うのもあれで好きになったんだよなぁ。いい先生でした。