えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『SONGS』

『SONGS』はAKBの劇場公演曲とちょうど真逆という印象だった。AKBの公演曲って、ずっと「80年代アイドルソング曲的」ってここで言ってるけど、「GO-BANGS的」とか「mike的」とか「中期南野陽子的」とかって言葉で明確に表現できちゃうように、かつてあったテイストを模範解答として作ってるので、本当に第一音が鳴った瞬間に曲の終りまでの道筋がハッキリ見えるんですね。第一音からイメージされる正道をまっすぐ進み、キッチリ盛り上げて、間違いなく落着させる。実に順当で、減点はない一方で、「こう来たか!」という驚きは少ない(単純に冒頭にサビのフレーズが来る曲が多いからってのもあるんだけど)


それに対して『SONGS』はなかなか正体を現さない曲ですよね。密やかなピアノフレーズから始まって、音が増えてからも怪しげなコーラスは入るし、ガンとビートが前に来たと思ったら、また後ろに引っ込んでエフェクトボーカルが前に来たり。まるで聴き手をジラしてるみたいに、クルクル姿を変えて正体を掴ませない。だけど少しずつ、多層的にテンションを上げてって、それまでのフラストレーションを解放するように、正体を隠していたフードをバッと投げ捨てるようにして、勢い良くサビへと突入する。アウトロもあそこから新しいコーラスフレーズ入るかっていうまさかな終わり方だしね。めまぐるしく変わるけど、『We’re ALIVE』とか『10年桜』みたいなコラージュじゃなくて、もっと精緻にフレーム材単位で入り組んだ印象。AKB劇場公演曲と逆で、一音先もすら予測不可能なミステリアスさ。それでいて通して聴くとこれ以外にないってハマり方をしてて一曲として完成している。ハロプロ楽曲の中でも割と珍しい感じですよね。


その、正体不明なところからジラしながら立ち上って行く感じがコンサートのオープニングナンバーとしては実に効果的でした。今年の春コンのオープニングは、歴代娘コン史上でもトップクラスに入ると思う。


あと一応AKBの方もフォローしておくと、AKBは3チームの劇場公演曲を用意する都合上 量産が前提だから、「〜風に」ってわかりやすく決め込む必要があったんだと思う。あとFC通販で買わない限りは現場で予備知識なしで聴くことになるわけで、現場の初聴でもすぐに理解できて楽しめるわかりやすさを大切にしてるんじゃないかなと。役割に特化してるという点では、また違うベクトルでクオリティの高いお仕事です。