えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『ソウルズ』 (田口ランディ:角川文庫)
ソウルの短編集。
直接的に幽霊を扱った話もあれば、“なんとなく惹かれる男女”だとか“音楽を通じた宗教的体験”といった、まぁ流行り言葉的に言うと「スピリチュアルな」と表現されるようなエピソードを集めた短編集。ただいずれも、肉体と乖離した話ではない。それらは不可分につながっているもの。




『バイブを買いに』 (夏石鈴子:角川文庫)
ちんちんの短編集。
おちんちんは本当にわかりやすい。わたしのことを思って、わたしとしたいと思って大きくなっているおちんちんは、いつだってわたしの胸を打つ。かわいくって、ぐっとくる。まるで、しっぽを振りっぱなしのバカな犬みたいだ。


ばかばかしくて愛おしい、肌と肌を合わせる感覚。好きな人を喜ばせてあげられる、自分の、女の体がうれしい。山田詠美から「こんなにいいセックスをしている私はいい女でしょ」感を抜いた感じとも。山田詠美はこのジャンルの「切り拓いた者」だからあれでいいんだけども。


スピリチュアルな切り口から身体性に辿り着く田口ランディと、フィジカルな話が精神性と地続きな夏石鈴子。反転画像のようで似ている。どちらも、大切な食べ物を一つの皿から取り分けて誰かと食べるような感覚に通じる。そして「ごちそうさま」を心から言える人は、裕福ではなくとも豊かな人生を送るのだろう。