えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

大河ドラマ『功名が辻』

今回の大河ドラマは 豊臣家家臣・山内一豊が主人公となっています。その最終到達点が「一国一城の主」である初代・土佐藩藩主ということで、天下統一闘争の主体となる人物ではありません。その点ではやはり歴史劇としてのダイナミズムには欠けるのです。今作ではその弱点を、「支え合う夫婦」という家族劇と「サラリーマン的な出世物語」という要素を加えることでカバーしようとしているようです。特に後者は、毎回番組冒頭では何かと劇中のトピックを現代社会の会社人に例えて解説を加え、視聴者の感情移入を誘うなど工夫を凝らしている様が見られます。確かに土佐藩主というゴールは大手銀行の「地方都市の支店長」クラスにも通じ、頭取や役員(=天下統一)よりは一般サラリーマンの現実的な目標地点として共感しやすいように思います。ドラマは織田家に仕官(入社)したところから始まり、ひたすら戦場での功を求め、今は直属の上司・秀吉の下で一番出世を果たしたところ。同僚の中で最初に係長職についたような状況です。この後、ワンマン社長である信長が死んで、後継の派閥争いに巻き込まれていくわけです。こうした小市民劇的な味付けが歴史ドラマファンの嗜好に合うかどうかはともかく、その作劇の方向性には一貫性が感じられます。ただ、今週放送分はいただけませんでした。


「長篠での戦を控え、一豊は秀吉に命じられて秀吉の義理の弟である大工の源助に馬防柵の普請を請う。その妻であり秀吉の妹である旭を「絶対安全だから」と説得し、源助を連れ出すことに成功するが、源助は自分が作った柵がどのように使われるのか見たいと戦場に舞い戻り、流れ矢を受けて命を落としてしまう。武田軍との戦には勝ったが、源助の死を知った一豊は妻・千代と共に涙を流し、責任を取って旭の前で切腹をしようとする…」

というストーリーだったんですけど、長篠の戦いは、集中的な鉄砲の投入という点で、異論あるにせよ一応は「戦国時代の戦闘の概念を革新した」とまで言われるエポックメイキングな歴史的事件として認識されているわけですよね。その戦いを取り上げるにあたって、合戦シーンは極めて淡白に流し、一大工が死んだの その責任がどうのに話が終始するのは、さすがに大河ドラマとしてはスケールが小さ過ぎるでしょうと。せっかく歴史という題材を扱うからには、その大きなうねりを作劇のテンションに利用しない手はない。なのに小市民的家族劇に焦点を当て過ぎて、せっかくの大波を乗り過ごしてしまったような印象を受けたのです。


これからしばらくは、本能寺以降 事態は急転するわけだけども、このあたりだけでもあまり千代にウエイトを置き過ぎずに進めて欲しいなと思うわけです。