えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

ナイスガイ

こんな本を読んでいます。
こんな音楽が好きです。
こんな映画をチョイスしています。


私はネット上に溢れかえる何を好きかで自分がどういった人間かをアピールする姿勢があまり好きではない。いや、もちろん自分にもそういう面があるのは重々承知している。それを承知の上であえて言わせてもらえば、大人たるもの「何が好きか」ではなく「何をしたか」で自分を語れなければならないのではないかと。少なくともそれを目指す姿勢を持たねばならないのではないかと思っている。私が己の趣味を披露する「なんとかバトン」が苦手なのはそういう気持ちのねじれた表出なのだろう。


こうした考えを前提に、私は自分がまだ何も成し遂げていない、何者にもなっていないという想いがあるだけに、何かを為した人、そのために現実的・能動的な一歩を踏み出した人には無条件で尊敬する気持ちがある(だからハロプロキッズハロプロエッグも根本的には私は尊敬している)。それはこういったサイト上で言葉によって自らのアイデンティティのいくばくかを形成する人間ならば誰もが持ち合わせている気持ちではないだろうか。


話を戻そう。ネットを見渡すとその語り手のほとんどの個性は「何を好きか」そして「その好きなことについてどのように語っているか」で成立しているように見える。例えばTKなら「モーニング娘。が好きな人」「飯田さんと新垣さんが好きな人」「ヲタ芸が嫌いな人」「ヲチスレが好きな人」etc…ファンサイトの管理人だから当然と言えば当然だがサイト人としての個性の多くがその嗜好によって成立している。そしてこれはハロプロ関連サイトに限らない。テキストサイト全般にも言えることである。


その中で異彩を放つのがあのニンジャだ。
多くの人は彼を語るのに「〜を好きな人」という言説は用いない。彼は
空手を学ぶ人であり
スタントアクションを学ぶ人であり
エアギターをプレイする人である。
モーヲタ的に言えば
辻希美名言集を作った人であり
キャラ&メル』の台本の書き起こしをした人だ。


彼は常に実践の人として認知されているのだ。
彼が常にネット上で一定の尊敬をもって迎えられるのは、こういった所に起因するのではないかと思う。


九十九式の今年の更新を振り返って、そんな「実践の人」たる彼の個性が最大限発揮され、なおかつ私の趣味嗜好の領域と奇跡的にクロッシィーン!したのはなんと言っても「マジでグリーンの人になった」 シリーズであろう。勇気を力に変えてのトライ&エラー。達成目標の明確さ。巧みな脇役の配置。そしてさわやかな読後感。これぞ九十九式という更新だと言える。、「戦隊ショーの中の人になる」という非日常的な題材は未見の知を求める広い読者層にもアピールするものだろう。


ただ一言、「テメッ その子供仕込みだろう!」とは言わせてもらいたい。



一方で、ハロプロヲタとしての側面からは「『2ndW』感想文」にスポットを当てたい。『2ndW』がリリースされた当時、Wヲタの間では絶賛評が飛び交っていたが、私にはあのアルバムがWの魅力を表現しきったものには思えなかった。それは自分のWへの愛情が不足しているが故の感触なのかもしれないとも思えたし、皆が喜んでいるところに水を注すだけになりそうだったので私はサイト上で言葉を紡ぐことができなかった。そしていくばくかの疎外感を感じていた。そんな状況でドロップされたのがこの更新である。それはアルバムに対して私が抱いていた不満が自分では意識できなかった領域まで明文化されているだけでなく、誰かをクサすような悪感情とは無縁のもので、端整な語り口の中にも2人に対する愛情が基調低音として感じられるものだった。正直 愚痴の一つも言いたくなるような展開が続く今のハロプロ界隈にて、こういうテキストこそが真に必要とされるものだろうと感心した次第である。



最後にこの場で紹介しておきたい更新が「自動改札が閉じたときの攻略法」だ。なんてことはない内容に意外と思われただろうか? なんせ「自動改札が閉じたときの攻略法」だ。そんなものに思い入れを持っている人などいない。また特別な知識の披露でもない。しかしだからこそ、実践の人であることや、Wへの愛情といった彼の特性を差し引いて、もっともプレーンな状態で彼のテキストスタイルを堪能できるのがこの更新なのである。とても自然にスルスルッと読め、内容が理解できる。それこそが文章というものの最上の価値であろう。実践の人たる彼の特性が読者に伝わっているのは、このような基本的テキスト力がその下地としてあってこそなのだと実感できる。そういう意味では最も端的に宮本氏の力量を伝える更新だと言えるかもしれない。



ハロプロテキストサイトの蜜月を記憶する最後の星として、そして今やすっかり古参となってしまった私の数少ない先達として、2006年も今のままの活躍を期待しています。


というわけで、以上をもって第3回九十九式テキスト大賞2005への投票理由に変えさせていただきます。