えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

演劇女子部『不思議の国のアリスたち』

BEYOOOOONDSが主演を務める演劇女子部『不思議の国のアリスたち』を見て来ました。サイドから見る席だったので全体像を把握できない部分も多いのですが、大枠の雑感などを。

 

■演劇女子部『不思議の国のアリスたち』

演劇女子部『不思議の国のアリスたち』は、メンバーの躍動する姿が可愛いだけでなく、想像してたよりはずっと演劇としての体裁がちゃんと整っていて楽しめました。ただこの「想像してたよりは」というのはある意味では事前プロモーションとしては失敗してたってことなんですよね。

 

公開前のプロモーションでは「不思議の国になぜか大勢のアリスが現れ、どのアリスが本物かのオーディションを行う」、「歌・ダンス・ジャグリング・マジックが織りなす、摩訶不思議なファンタジー・パフォーマンス・ショー!」といった情報が公開されていました。ハロプロの舞台では、演劇としての完成度を追及する方向性と、メンバーの可愛い姿を楽しめればいいというジャンクな方向性の2つのベクトルが存在しているかと思うんですけど、この事前情報からだと大勢の人がかなりジャンク寄りの印象を抱いたと思うんですよ。それが「想像してたよりは」の原因であり、期待値のハードルを下げて劇の満足度を上げる効果はあったかと思いますが、メジャーデビュー前で集客に不安がある状況では、マイナスの効果も大きかったように思います。

 

ともかく事前のジャンクな印象よりもずっと楽しめたのは、複数のアリスが並列の存在ではなく、特定の一人=アン(山﨑夢羽 )を明確な主役として設定したことが大きかったですね。一人の少女の成長物語として物語としてわかりやすい筋が1本通りましたから。

 

ただですね、アンをヒロインとして認知させる方法はよろしくなかったと思っています。登場人物の中で誰が物語の主軸となるのかは、その物語の進行の中で観客が自然に把握していった方が納得感があるし、その方が物語に没入しやすいんですよ。例えば『LILIUM -少女純潔歌劇-』では、その冒頭でリリィだけがシルベチカの存在を覚えているという謎が物語を牽引します。そして「シルベチカのことを唯一覚えているリリィ」と「忘れているその他大勢」という対比がはっきり浮かび上がり、シルベチカの謎を追っていく過程でリリィが物語の主軸として自然に浸透していくわけです。対して今回の『不思議の国のアリスたち』では最初のナレーションでいきなり「あるところに一人の女の子がいました(=この子が主役ですよ!)ですからね。観客がそうと把握する前にナレーションで主軸を押し付けるのは下策だと思うんですよ。

 

特に今回の場合は山﨑さんがまだグループ内でまだセンターとしての実績を積む前の状況じゃないですか。そういう意味でも既に何曲もシングル曲のセンターを勤めていた『LILIUM』の時点での鞘師さんとは違うわけです。だからこそ余計に彼女を主役としていかに観客に納得させるかについてはもっとデリケートに扱うべきだったと思っています。誤解のないように言っておくと、今のBEYOOOOONDSで誰をセンターを据えるかと言えばやっぱり山﨑さんだと私も思っていますし、今回の舞台での演技や存在感もとても良かったです。だからこそ、今後のセンター路線としてのキャリアの出発点として、そのあたりに押しつけ感がないようにもう少し気を遣って欲しかったなと。

 

ワンダーランドから帰還したアリスたちの役名がメンバーの本当の名前と同じで、これから絆を結び関係性を築いていく舞台上の少女たちの姿が、そのまま現実世界でのメンバーの姿と重なる仕掛けとなっていました。ちなみに同じく役名=リアルネームだったのが、ハロプロの初めての演劇であった『LOVEセンチュリー ~夢は見なけりゃ始まらない~』。客席が「観客役」というエキストラとして作品世界に参加するところも同じで、意外と共通点は多いのかも?

 

 

 ■須藤茉麻(ハートの女王)

アンが表の主軸だとしたらその裏面となり物語を支えるのは間違いなく高圧演技でハートの女王を演じきった須藤さん。『ファラオの墓』におけるスネフェルみたいなもので、視点を変えて彼女を主役に据えても物語が成立する役所でしたからね。物語を主導し、客をイジリ、クライマックスを盛り上げとまさに八面六腑の活躍でした。

 

■高瀬くるみ(ミント)

アリスたちの中で唯一悪役になりかねない難しい役所を熱演。こういう役を振られるのはスタッフから信頼されている証。

 

■西田汐里(ホッピン)

真横から見るサイド席で見たので、ちょっとステージからほっておかれる寂しさもあったんですけど、そんな中でパフォーマンス中に一番こちらに向けてアピールしてくれたのは西田さん。嬉しい!

 

 ■島倉りか(ラベンダ)

冷静委員長キャラの眼鏡りか様がパフォ―マンス時に見せる笑顔のギャップにやられました。ヲタクちょろいからイチコロですよ。

 

■清野桃々姫(オレンジ)

テル! お前テルなんだろ・・・!?

 

■平井美葉(トランプ兵・スペード)

男の子役。ちゃんと声が出せてたよ! 見せ場は、相手をなじる気持ちよりも仲間を想う気持ちを前に出した「お前…最低だな…!」。

 

■里吉うたの(トランプ兵・ダイヤ)

女王様の客席イジりの後が里吉さんのセリフからのシーンだったんですけど、女王様のスカートが客席に何度もひっかかってなかなかそのシーンに行けなかった時に、演技スタートのタイミングを何度もずらされて「(><)もう勘弁してぇ~」という顔をしてたのが可愛いかったです。

 

■小林萌花(トランプ兵・クラブ)

 女王様に声を奪われてもどこか飄々としてるのが良かった。ここをあまり悲壮感たっぷりに演じてしまうと物語のバランスが崩れますからね。