えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

侍戦隊シンケンジャー in Gロッソ

毎年年末になると東京ドームシティで開催される「素顔のヒーローショー」。これはヒーロースーツ姿でのアクションだけではなく、実際の俳優さんたちも出演する特別な特撮ヒーローショーです。こちらの『シンケンジャー』ショーの観劇に行ってきました。去年までは屋外の「スカイシアター」で開催されていたのですが、今年から場所を新設会場の「シアターGロッソ」に移して行われます。


■シアターGロッソ
Gロッソとなっても、スカイシアター時代の高低差を活かした演出は健在で、客席から見えない位置に設置されたマットを利用して、ステージの上から3〜4mはあろうかという落差を飛び降りてのアクションが多用されていました。これが結構な高さです。さらにGロッソ(屋内)になっての進化としては…


●スクリーン演出
要所、要所でシルクスクリーンのような幕が降り、そこに映像を投影したり、照明を当てることで、テレビのCGや特殊効果を再現。またバックボードに常設のモニターもあり、そこでの映像も活用されます。舞台では不可能だと思われていた巨大ロボも再現!


●ワイヤーアクション
空中から現れたジュウゾウがワイヤーに捕まって降下しながらレッドに斬りかかったり、シンケンピンクがスパイダーマンのようにワイヤーにぶら下がって左右にスイングしながら雑魚を蹴散らしたり、あげくの果てにはシンケンゴールドは客席の上空に出現。敵と空中戦をしながら客席通路に降りて来てそのまま戦うなど、まさに会場全体を大胆に使った演出がされていました。


●照明演出
壁やスクリーンに充てた光を動かすことで、光線系の必殺技を再現したり、チカチカとフラッシュを明滅させることで、「斬り交わる刹那をスローモーションで見せる」という、テレビ的な演出が見事にステージ上で再現されていました。


とにかくこんな感じで演出に手が込んでるんです! 屋内になってできるようになったことは惜しみなく全部詰め込んだって感じ。ストーリーも、各俳優さんたちの見せ場を設定し、キメキメの変身 → アクション → ライバル同士の一騎打ち → 2段変身しての各メンバーのソロの見せ場 → 大ピンチ → チビッ子からの声援を受けての復活 → 巨大メカに乗ってのフィニッシュ → みんなで声をそろえて合唱でのエンディングと、とにかく30分強の短い時間の中であるべきお約束・盛り上がり要素をすべて詰め込んだ見事な構成。5人がそろって変身ポーズをとったら、陣幕がササーッと左右から現れて、それが交差して幕がはけたらもう変身してるとかね、大の大人だって普通に「芸能」として楽しめるレベル。肉弾アクションも素晴らしく、昔のデパートの屋上のヒーロショーを想像して見に行ったらきっとビックリしますよ。



■俳優さんたち
森田涼花さんを始め俳優さんたちも多い時には1日6公演(!)とかのハードスケジュールなのにアクションまで頑張ってました。ただ一つ残念だったのは変身した後は本人の声じゃないってこと。現場でアクションを見ながら他の方がアテレコされているんですよね。特に森田さんは関西弁のイントネーションに特徴があるので、本人の声と当てられてる声にギャップがありました。素人考えだと事前に録音しておいた声を当てるという手法でもいいような気もしますが、きっとそれだと不測の事態に対応できないから、長年の経験則で直アテの方がいいってことに落ち着いたんでしょうね。ステージが終わってから、カーテンコールのような形で5人の俳優さんたちがステージに再度登場。そこではシンケンジャーとしてではなく、素の俳優本人としてのコメントを寄せてくれました。一つ驚いたのはレッド役の松坂桃李さんの普段の声が役柄上の声とかなり違うこと。コメントの最後で「最後は"殿"として締めます」って言ってから出した声はまさにレッドのもので、テレビの声はだいぶ作り込んだものなんだと感心しました。高梨臨さんもマコとしては凛とした声を意識して出してるので、普段の声はもう少し柔らかい印象。あとのメンバーは割とそのまんまでした。



■客層
もちろん小さい子供連れの家族が中心層で、男性のヲタらしき人はほとんどみかけませんでした。ただ女性ヲタは会場の3〜4割は入ってたと思います。やっぱ殿が一番人気で、登場した時には「キャー! とのー!」という黄色い声援が飛んでました。子供連れたお母さんも叫んでましたw 



■まとめ
スカイシアター時代のゴーオンジャーショーも見たことあったのですが、そこから屋内の利点を生かし、格段にグレードアップした内容にただ驚くばかり。テンポも良いので、俳優目当ての女性オタも、お父さんお母さんも、普通に楽しめる内容になっていました。


でもきっとこのクオリティーの高さは親御さんやオタのためのものじゃないんですよね。このお仕事に誇りを持っているスタッフたちが、「舞台なんだから多少裏側が見えてもいいじゃん」とか「子供向けなんだからこの程度でいいだろう」なんて一切考えず、ただただ子供たちにテレビそのまんまの、“本物”のヒーローを見せようと知恵を絞った結果なのでしょう。もちろん子供にはこのショーがどれくらい手間暇をかけてでき上がったものかはわからないでしょうが、きっとヒーローの活躍を目の当たりにした思い出はずっと残ってゆくんじゃないかな。「子供騙し」という言葉は悪い意味で使われますが、ここでは子供を騙す時こそ本気。そんなプロたちの熱意を感じる素晴らしいステージでした。