えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

嗣永桃子ラストライブありがとうおとももち

ももちのラストライブは最初から最後まで、演出も組み立てもパーフェクトな内容だと思いました。バラード曲に生の感情を滲ませつつも、直後に『ゆるしてニャン体操』ではぐらかしてみたり、そういったバランス感覚も完璧。自分の感情に耽溺することはなく、あくまで客に見せるパフォーマンスであることを意識した内容でした。そして何よりファンを「ももちがいない日常」にちゃんと送り出してくれたような気がしました。


そして多くの人のももちへのリスペクトを感じるライブでもありました。私はアイドルさんたちには皆あんな風に尊敬されて旅立っていって欲しい。本人が幸せになるのは当たり前として、多くの人を幸せにしたんだから、その分ちゃんと尊敬されていて欲しい。


人を幸せにする職業はたくさんあります。極論すれば全ての仕事の究極の目標はそれだと言ってもいい。ただアイドルは、本来ならば大人から幸せにしてもらうはずの期間をそのことに捧げます。そのことが普通の職業とは決定的に異なります※)。これはアイドルの本質であるが故に、普通の人がアイドル産業およびアイドルオタクを嫌う理由とも直結しています。大人が寄ってたかって、子供としての受益期間を放棄させているようにも見えますから。


例え本人の夢と引き換えであっても、大人が子供を利用して商売をしている。それを娯楽として大人が楽しんでいる。それは一面事実です。その卑しさはアイドル産業従事者とアイドルファンが宿命的に背負う原罪と言っていいでしょう。でもだからこそ、アイドルに関わる大人たちは、彼女たちの幸せを心から望みます。彼女たちから「普通の青春」を奪っているという自覚と罪悪感があるからこそ、普通に過ごしていたのでは決して味わうことがなかった感動の高みに彼女たちが到達することを無心に願い、彼女たちの夢を後押しします。


先日見たももちのラストライブとは、そうした関係の最も幸せな結実と言えるものでした。慣れないはずの野外会場での見事な設営に、音響に、そして映像演出に、彼女に関わった大人たち全てが、彼女の旅立ちを最高のものにしようと意を尽くしてくれているのが伝わりました。そして多くの後輩から尊敬を受け、多くのファンからの愛情を受け、誰よりも幸せだと胸を張って卒業していく彼女の姿こそは、アイドルに関わるすべての大人への許しであり、救済であり、福音であったと思うのです。


だからありがとう、ももち。
15年間、最高のアイドルであり続けてくれてありがとうございました。



※)そういった意味でやはり青春期間が終わってからアイドル活動を始めた中澤さんは特異であり、彼女がそばにいることで初期モーニング娘。はアイドルのなんたるかの輪郭が際立ったのだと思います