えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『ジュラシック・ワールド』(ふわっとネタバレあり)

物語前半では「人間の制御下に置かれショーアップされた観光地」であったジュラシック・ワールドは、物語後半ではお約束の通り制御不可能な災害の地へと大崩壊します。その対比こそが物語のキモなわけですが、その割には後半でも恐竜をわかりやすく悪役にしたり、ヒーローとして持ち上げたりと、人間側の倫理や作劇の都合に従属した存在として描き過ぎている気がします。そのため<制御可能 ←→ 制御不可能>の対比がボヤけてしまっている印象は受けました。過剰に介入された人の手が恐竜の超越性をはぎ取っているという点では、劇中のテーマパークとストーリーはリンクしていると言えるのかも。


他にも恐竜の軍事利用に反対する立場の主人公側が野生動物を餌付けして飼い慣らすことを「絆」や「信頼関係」と呼ぶのはどうなの?とか、悪役はともかくなんでこの人をこれでもかって悲惨な目に合わせてんの? とか演出と脚本の整合性はシリーズ最悪レベルで、「女性を管理職におくとグダグダ決断を先延ばしにして事態の悪化を招く」的な女性観もあり、減点法で見れば気になった点は無数にあったのですが、そういった齟齬を補って余りある圧倒的な娯楽性。恐竜の神秘性ははぎ取られていますが、残念ながらやはり都合の良い役者としてきちんと配置された恐竜はカッコイイし、盛り上がらざるを得ません。『ジュラシック・パーク』とジャンルは違いますけどね。