えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『愛のダイビング』

やはりこの曲の快感はサビの伸ばし音と言葉を詰め込み気味のところのバランスですね。そしてあの畳みかける部分の歌詞は音的な効果としてはほとんど英語のそれに近い。
I know Diving! You can a I know Diving!
特に指示があったわけではないようですが、本人たちもそれを意識して歌っているようです植村あかりblogより)。いやぁ、この「サビが英語的」っていうのがいいんですよ。




■「サビが英語=最高」という残念な脳の私
'73年生まれの私が子供の頃、音楽なんか『ザ・ベスト10』で流れているものぐらいしか知らないという当時はアニソンと歌謡曲が音楽のすべてでした。そんな私が中学生になって初めて触れた音楽がTMネットワークBOOWYであり、その時に感じた衝撃が強烈な原体験になっているんですね。で、その頃の曲って割と「サビで唐突に英語」というパターンが多かったんですよ。『B・BLUE』とか『GET WILD』とか。TMだと曲名が英語でそれがそのまんまサビで登場するパターンも多かったりして。『Come on Let's Dance』、『Seven Days War』、『Time pass me by』、『Come on Everybody』 etc…。(※2) もちろんね、後に中二病をもうひと拗らせしてくると「訳したらたいしたこと言ってねぇな」とか「なんで唐突に英語?pgr」とかヒネくれちゃって、日本語歌詞に回帰したり、全編英語の洋楽に行ったりもするわけですけど、でも当時は「サビが英語」のカッコ良さを無邪気信奉していたし、実際のところ魂の根っ子の部分ではそれがもう「カッコいいもの」として拭い難く刻まれてしまっている。 だからこの『愛のダイビング』の「英語に聴こえるサビ」というのには、当時のトキメキが蘇えるわけなんですよ。しかも「英語に聴こえる」という一ヒネリを加えて、中二的恥じらいにエクスキューズを与えてくれた上で! こりゃあもう私には抵抗できません。




■私が思う“粋”な韻
あと『愛のダイビング』に関して言えばサビの歌詞で
「まだ躊躇」→「パラシュート」
「飛ーびーなー」→「fall in Love」
など韻を踏んでるのも気持ち良いですね。特に前者は「ダイビング」から連想して「パラシュート」の方を先に思いついたと思うんです。なのに「まだ躊躇」の方を一番に持って来て一見わかりにくくしてるあたり巧みですね。


これは私の勝手な考えなんですが、“粋”なライムの条件って「字面ではわかりにくく、音の重複は多い」だと思うんですね。例を挙げるとRhymesterの『ウワサの真相 featuring F.O.H.』
>ってな感じまるで催眠術
>綺麗な見た目の裏にゃダサい真実


片方が名詞1単語でもう片方が「形容詞の途中から+名詞」なので歌詞カードで字面を見ても一瞬ここで韻が踏まれているとわからない。だけど実際は全ての母音が重複しているので音楽的な効果は高く気持ち良い(※3)。なので「パラシュート」部分の韻も実に「粋だなぁ」と思うわけなのです。



そんな粋な作詞を手掛けたのは、同曲の作曲も手がけた星部ショウ氏。『臥薪嘗胆』や『七転び八起き』など私が最近好きな曲を手掛けた人なのですが、過去の経歴は一切不明。しかも作詞だけしたり、作曲だけしたり、両方したりと、どういうキャリアの人なのか読めない挙動をしてます。どうもこれからのハロプロ楽曲のキーマンになりそうな気がしますね。




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(※1)これに関してはイマイチなシングル曲が間に挟まってないことも大きい。ぶっちゃけ真ん中に『黒蝶』とか挟まってたら…(汗 どうしてもこれまでのハロプロアルバムでは収録されるシングル曲のクオリティにムラがあるせいでアルバムとしての完成度が落ちてしまうということが多かったように思うんだ…。


(※2)ちなみに曲名にもなってる英語をサビ落ちで呟くパターンも好きだったりしますw 『Winter comes around』とか『Here There&Everywhere』とか。


(※3)
当然粋じゃないライムはこの逆となり、要は「字面でわかりやすい割には音の重複は少ない」例を挙げるとこんな感じかな。
>肩で刻む軽快なリズム
>想いを乗っけて届けるよライム
どちらも片仮名3文字名詞で字面から韻を踏んでるのは丸わかりなのに、実際に母音的に合ってるのは最後の「u」音のみ。いや、“悪そうなヤツは大体友達”な『Greatful Days』は大好きな曲なんですけどね(汗


P.S.
「サビが唐突に英語」曲としては飯田さんの『3日おくれのChristmas Card』も好きです。