えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『夕暮れは雨上がり』とフクちゃん

小娘さんが書かれている通り(小娘のつれづれ 【アイドルレコメンド】『夕暮れは雨上がり / モーニング娘。'15』)、つんく♂曲には人生の苦難の象徴としてしばしば「雨」が登場します。もちろんそれ自体はありがちな比喩ではあるのですが、つんく♂が他の作詞家と異なるのは、苦難をネガティブなものとして否定・排除するのではなく、苦難もあるという事を人生の姿としてありのままに肯定しているところでしょう。苦難があるから、嬉しい事が鮮やかに際立つ。


「雨が降らない星では愛し合えないだろう」というリリックはやや直接的でしたけども、この「夕暮れは雨上がり」というタイトルにもなっているワンフレーズは詩情豊かで、鮮やかな情景を想像させてくれます。そして間奏明けの音数が少なくなった箇所でこのフレーズを印象的に歌い上げるのが、新しくリーダーに就任した譜久村さん。


これまでどんなパートを歌ってもしみじみ良い歌を聴かせてくれた彼女ですが、お母様からは「聖の歌には個性がない」なんて厳しく評されることも。だけどこの曲では、その歌世界をまさにその一身に背負って表現できていると思います。「どこか泣きがある」とつんく♂から評された通り、Aメロで歌われる別れの悲しさを内包しつつ、さらに今の彼女には悲しさに沈んだ心を優しく包み込む慈愛に溢れています。1番の最後の「頑張ろ…」と、間奏明けの「夕暮れは雨上がり」。共に「彼女でないと成立しない」という域に達しているのではないでしょうか。




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