えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

つんく♂氏、声帯切除を発表

第一義的に、つんく♂氏は自分が何者であると規定しているのか? そう問われれば今でもやはり多くのモーヲタはこう答えるでしょう。「歌手」であると。プロデューサーとして手掛ける数多くのアイドルも彼の音楽を世に伝えるための手段の一つであり、やはりその根幹には彼自身の音楽家としての、そして特にボーカリストとしての拘りが込められている……私はそういう物語を信奉しています。それこそがハロプロの独自性であり、他のアイドルでは代替の利かない部分(の一つ)でもあると。


自分は何者であるか、表現者ならば誰しもその純度にはこだわりたいものでしょう。人との交わりや、売らんがための様々な施策、それらを「不純物」と断じて遠ざけたい気持ちはアーティストならば誰にでもあるはずです。そうでなくとも日本人には「何者であるか」に殉じる生き方を礼賛する性向がありますから(幕府の侍たらんとして時代に逆らって討ち死にした新撰組の人気が高いのもそういった理由でしょう)


だけどつんく♂は人と交わり、幾多の不純物をも取り込み、清濁合わせて飲み込んで、日常に堕してもなお続いていく世界を前向きに生きていくんだと、その歌の中で人生を丸ごと全肯定してみせた人でした。だから彼の「声を捨てて、生きる」という選択は必然的にそこにあったのでしょう。「いかに生きてきたか」という人生の帰結として。


そう、答えは決まっていた。しかしそれが痛みを減じるわけではありません。声という歌手にとっての魂の半身を失う痛みはいかばかりだったかと。それでもなお、打ちひしがれるどころか、そこから立ち上がる姿勢を示し、そればかりではなく そこでしかできない事へのチャレンジを始めようとする精神は、まさに鉄人のそれです。私にとってつんく♂はやはりスーパーヒーローなのです。