えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『ごがくゆう』その1

こういった作品の場合、大きく分けて3つの「変化」が作品の中に存在すると思うんです。一つは事態の変化。巻き起こる事件や登場人物の行動による事態の推移ですね。一つは関係性の変化。特定のキャラクター同士が仲良くなったり、恋人になったり、仲違いしたり、あるいは加害者と被害者になったり。最後はキャラクターの内面の変化です。


今回、モーニング娘。のメンバーが演じた5人の登場人物はこちら。

フェイ(鞘師)…K国のお姫様
リオン(工藤)…フェイの従者。将来はフェイの影武者となるべく整形する予定
リュウ(譜久村)…王位継承権を放棄し、N国に留学中のフェイの母違いの姉
クリア(石田)…N国の下町食堂の看板娘
ミラー(飯窪)…クリアの友人

この中で劇中で内面の変化を迎えたのはフェイ、クリア、リオン。
変化しなかったのはミラーとリュウ 
(厳密にはミラーは1回変化しかかるんだけど、最終的に元の側に留まる)

今日は変化しなかった側の2人について。


内面が変化しないキャラの場合、推移する事態に対してのそのキャラらしいリアクションは自ずと決まってくるので、それがどんなキャラクターかが観客に齟齬なく伝わってさえいれば、生き生きとした活躍をします。
リュウ=天然気味のお姫様だけど微妙に毒がある
ミラー=貧しくてもひねくれないピュアな良い子

と、設定されたキャラクター性が演者の個性ともマッチしているので、出演時間が多くない割には活躍が印象に残りました


特にミラーはN国の下町の人達の多くが貧しさ故に間違いを犯す中(クリアはフェイを金儲けに利用しようとするすし、クリアの父親はクリアを学校に通わせないし、イタチは盗みを働く)、頑なに正しくあろうとしていたため、その純粋さが引き立っていました。それはあたかも下町の良心のような存在で、彼女がいるからこそ、この街の人々は最悪の一線は越えずにいられるんじゃないかとすら思わせてくれました。