えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

前田敦子

今さらですけど、AKBから前田敦子さんが卒業しました。前田さんについてはファーストインプレッションに近い所見をココで書いたっきりでしたけど、当然、中心メンバーですしそれ以降も気になる存在ではありました。


AKBに関しては外野だからかなりトンチンカンな感覚かもしれないけど、私の中では前田さんってモーニング娘。で言うところの、紺野さん、なっち、中澤さんの成分を持ったメンバーなんですよ。私の中での紺野さんって「紺野さん」という呼び方が似合う、「普通さ」を一番持ってた子なんですよね。紺野さんの目を通して見ることで「普通の中学生から見たモーニング娘。」がどんなものか見ることができるし、またメンバーが紺野さんに接している姿を見ることで、彼女たちが普通の学生だったらクラスメートにどんな風に接するかを見ることができる。
(これは紺野さんが自分の目から見たメンバーの姿を紹介した2004年の『DVD MAGAZINE vol2』なんかを見てると特に感じた)


で、前田さんの物語が凄絶だと思うのは、そんな紺野さん的「普通の子」の要素を残した前田さんが延々とあの巨大な組織のセンターに据えられていたって所なんです。本来センターに据える人材ってある程度エゴイスティックである必要があると思うんです。自分が主役で当然っていうエゴの強さや、他者に負けることを自分に許すことができない頑なさが必要だと。丁度なっちとごっちんのようにね。と言うかそうじゃなきゃ精神的に耐えられないでしょう。だけど前田さんは、当初センターに抜擢された時に嫌がって泣きじゃくっていたこと、総選挙で1位に選ばれても「AKBのことは嫌いにならないで」と泣き言を漏らすしかなかったことからもわかる通り、決して本来的にはセンター向けの人格ではなかったと思うんです。だけど最初のリンク先で書いた通り、AKBの中で誰かをセンターに据えなきゃいけないなら、前田さん以外にベストな選択はなかった。




絶対、コジハルとか板野とか篠田さんのポジションの方が楽でしょう。どう見ても前田さんが一番しんどい。本来的には「普通」的である子が、そのとんでもない辛さを、責任感とか、グループへの愛とか、流した汗の量に裏打ちされたオリメンとしての矜持とか、おそらくは持てる全て、魂の力の全てを動員して、耐えて、はね返して、真ん中に立ってたんでしょ? そりゃあ応援したくなるでしょうよ、そんなの。


確かにね、総選挙のコメントを聴いたら、「私の背中について来て」と言ったり、システムの矛盾をすべて引き受けて「票は皆さんからの愛です」と言い切った大島優子の方がしっかりしてるし、頼もしいって思うんですよ。だけどそうじゃないと。AKB加入以前からの女優としての依って立つ経験やスキルを持ってる大島さんじゃなくて、それこそAKBに以外に何もすがるものを持たない前田さんがセンターに立つからこそ、その物語は凄絶さを増すんだと。それこそがアイドルなんだと。


だからね、去り際をちゃんと見極めて、倦まず、潰れず、後輩に晴れやかな姿を見せて卒業していった前田さんは素晴らしいと思っています。その劇的さというか、あまりに物語として完成されている所に裕ちゃんに通じる要素も感じたりします。ともあれ、前田さんは長い間お疲れ様でした。AKBに関してはファンとは言えない私ですが、アイドル史に名を残す偉人として、一人の人間として、心から尊敬しています。