えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

陽だまりの彼女 越谷オサム新潮文庫

なんか読んだ感想が、最近ネットで創作かどうかでも話題を呼んでた「ゲーセンで出会った不思議な子の話」というスレに近いなぁと思いました。と言うかこういう「泣きながら一気読みしました!」系の帯が巻かれそうな作品は常に刊行されてて、私も定期的に目にしている気がしますね。『天使の卵』とか『世界の終わりという名の雑貨店』とか『セカチュー』とか。まぁ「別離で終わる純愛」は普遍的に受けるテーマですしね


そういった作品群の中で『陽だまり〜』と例のスレの共通点として印象的だったのは、ヒロインの造形が「こんな子ぐらいならいてもいいよな」っていう、ちょいオタ男子の願望の受け皿としてうまくデザインされているなってこと。


これが男の願望のもっとストレートな発露だとむしろ難易度は下がると思うんですよね。萌え記号の組み合わせだけで、ルックス・性格から交流シチュエーションまで構成できてしまうから。オタクジャンルならそれでもいいんだけど、「小説」とか「実話」というカテゴリーに入ろうと思ったらそこから一歩後退して、肌理のあるキャラクター造形とかエピソードの積み重ねとかが必要となる。萌え記号を導入するにしても頭をヒネって手垢のついていない記号を選出しないといけないし(例のスレでいうと「頭に手をおかれてワンワン」とか)。や、もちろんそれでも鼻につく人はいるんでしょうけど。


ともかくそういう意味で、文庫本と2chのスレと、それぞれメディアの色に合わせたキャラクター造形で上手く描けているなと。


「ゲーセンで〜」の方の実話か創作かという話題で言うと、劇中に人死にが出てる話なんで「実話であって欲しい」とは思えないんですよね。根本的に。だから創作であって欲しいに一票です。



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