えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『なるほどハイスクール』

AKBの『なるほどハイスクール』の今週の企画がなかなかに面白かったですね。AKB認知度調査スペシャルと題して、要はメンバーが街を歩いてるのを隠しカメラで追って、街ゆく人に何秒で声をかけられるかを競うというもの。「AKBは有名だけどメンバー個人の知名度はイマイチ」という評判を逆手にとっての企画なわけですね。参加したのは選抜メンバー12人。


これがかつてのハロプロ系のバラエティだったら、撮ったVTRをみんなでスタジオで見て、薄いリアクションを見せて終わりとなるところ。だけど今回の番組ではVTRを撮った上で、VTRはあくまでも素材で、それを使ってどう番組を作るかというところで、ちゃんと手が入っていました。具体的にどう手が入っていたかというと


●その1:出演ゲストによって順位を予想させる
全体的に競馬&カーレースの要素を盛り込んで、「順位予想ゲーム」として仕上げていました。特に淳に事前にどうしてそう予想したかを解説させて(「前田は人気はあるけど声はかけづらいんじゃないか」とか)、レースとしての切り口を視聴者に意識させる。VTRを見ている間もゲストたちが「顔を上げるんだー!」とか「(前田が)負けるわけねーだろ! 行けー!」といった競馬場のおっさんをあえて真似た野次を飛ばすことで、レース感を盛り上げる。


●その2:VTRを加工し、演出する
「ただ歩いているだけ」という、それだけでは退屈な映像の間を持たせるため、局アナに実況させた音声を後付けで被せている。これは上に挙げたレース実況的な雰囲気作りにも貢献している。またメンバー出発時にF1のスタート時のようなカウントダウン音を乗せるといった演出も同じ意味で、どういう切り口で見ればいいかをわかりやすくするための、後付けでのVTRの加工。


●その3:放送順序を調整し、ストーリーを作る
放送順序を調整することで、最後の一人・前田を残して指原が並みいる人気メンバーを抑えて暫定1位という状況を作り出し、下剋上・指原VS絶対的エース・前田の対立構図をクライマックスとして仕立てる。さらにこれを盛り上げるために、途中でゲストの予想のし直しを許可し、「指原を予想する淳 vs. 前田を予想する有吉」という対決視点をスタジオにも構築する。


●その4:脚本を用意する
これは穿った見方かもしれませんけど、淳が指原を予想し、有吉が前田を支持して対決するというのは作家から用意されたアングルでしょう。「何秒で気付かれるか」というレース部分は仮にガチとして、「ガチだからそのまま流す」というのではなく、どういう切り口で見せれば番組として面白くなるかを楽しめるかを検討し、ちゃんと筋立てを用意している。



結果は前田が指原の記録を抜いて堂々の優勝。最後は「ウイニングランですよ!」とスタジオから声が上がった、人だかりを引き連れて歩く姿を見せて、王者の貫録を見せつけるという収まりの良さ。最終的にスタジオに戻って、予想を当てた有吉は「見たか指原ーっ!」と勝利の雄たけびを上げ、「(もらった的中賞金で)SKEのCDをいっぱい買いたいと思います!」「(メンバー)えー!!」「だっはっはっは」とキチンとお笑いとしての仕事を見せて終了。


予算の違いなどは当然あるとしても、ハロプロ系のバラエティは『二人ごと』にしろ『ハロプロTIME』にしろ、「素材の良さをそのままお見せする」というのを言い訳に、作り手が面白くするための仕事を放棄しているように見受けられるのですよね、昔から。でもアイドルを使ってバラエティ番組作るのってそうじゃないだろと。今回の『おもしろハイスクール』にしたって、あれ実はVTRをそのまま流してスタジオでリアクションするだけだったら多分面白くもなんともない内容になってますよ。お寿司や刺身がそうであるように、生に見えて実は美味しくするためにちゃんと職人の手が入っているんだってことが重要なんだと改めて思いました。


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