えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『午後の音楽』 小池真理子集英社文庫
メールのやり取りを通じて描かれる、妹の旦那との倫ならぬ恋。大学生の子供がいることからしてヒロインは40代なんだろうけど、なんだかな。率直な印象として「醜悪」と感じてしまった。著者は一クセある人なんで、最初は暗にその醜悪さを描いているのかとも思ったけど、


「一通のメールから恋は始まった」


「メールの返信が来るまで、ずっとあなたのことだけを考えている」


というコピーからして、そういうわけではなく、ストレートに「純愛モノ」として押し出しているらしい。結末の落とし所としてもそういう意図は見て取れます。だけど、醜悪。


なんだろうなぁ。別に不倫に関して「汚らわしい」と感じているわけではないのです。また嫉妬とか、家族間の修羅場とか、現実的ないざこざは物語からは排除されているんです。だからこそわかったのですが、突きつめれば私は、年甲斐もなく訪れた「本気」に対して、この機会を逃すものかと必死で執着してるように見える主人公たちの姿勢を醜いと思ってしまっているのでした。年齢的に自分もそっちの範疇なんで、その感覚自体が自己否定につながるにも関わらず、ね。そんなこんなで読んでいる間ずっとモヤモヤしてしまいました。


これ女性が読んだら「こんな本気の純愛がしてみたい。キュン」とかになるのかなぁ。このひっかかりは何なんだろう。