えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『リズム』 森絵都:角川文庫)


講談社児童文学新人賞受賞作。10代の子供が最初に手にする青春小説がこれであったらいいなと思わせるような、健やかな思春期の物語。特別な経験のない10代。まだ何も成し遂げておらず、何者にもなっていない10代。そんなどこにでもいる10代を題材に物語を紡ぐというのは、ある意味とても難しいことだと思う。小さな自分の世界の変化に対する怯えと、人が育つことの健やかさ……誰もが通って来た道だけに、特別な修辞ではごまかしが効かないから。それをまっすぐに率直に描くこと。まっすぐに届くように、率直に響くように書くこと。それは大人が読んでも清々しい物語。