えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』 (集英社文庫江國香織)


その物語の間に状況に変化が起きたり、
主人公が何か行動を起こすということはなく、
既にある<状況>にいる登場人物(主に女性)の
その瞬間の、あるいはそこに至るまでの内面を綴った短編集。


どちらかと言えば、好みではないタイプ。
私は短編でも、そのこ何らかの行動や事件があって欲しい。
つまりは<筋書き>がちゃんと欲しい。


ベースラインだけが素晴らしいような曲ではなく、
ちゃんとポップスとしての主旋律が欲しいのだ。


しかもここで描かれる<状況>の多くが不倫の恋。
そこの心情を描くのに倫理観(社会性)の描写がスッポリ抜けおちて、「盲目的なまでの恋をした自分」を語っているのが、なんだかDQNの万引き自慢を聞いているようなイライラがあった。


端的に言うとですね、他人の夫に手を出しておいて、
「人生という川は、泳ぐのに安全でも適切でもありません」
って言われても、そりゃあお前の料簡が悪いよ、って言いたくなるのさよ。