読了
『押し入れのちよ』 (萩原浩:新潮文庫)★★★☆
ホラー寄りのファンタジックな要素を含んだ短編集。
「ジェントル・ゴースト」を扱った心温まる幽霊譚
「コール」「押し入れのちよ」「しんちゃんの自転車」
生理的な嫌悪感を伴う不気味な物語
「お母様のロシアのスープ」「老猫」
追い詰められた人間の凄惨さをスラップスティック喜劇として見せる
「殺意のレシピ」「介護の鬼」「予期せぬ訪問者」
幼い家族の喪失に対し、心に区切りをつけるためのある事件を描いた
「木下闇」
解説でも書かれているが、やはり「木下闇」が白眉。
オカルトな事象が光を当てる、幻想よりも残酷な現実。
遠い過去の取り返せない喪失を大人になってから振り返る切なさ。