えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『世界は密室でできている』 (舞城王太郎講談社文庫)



何とかと煙は高いところが好きと人は言うようだし、
父も母もルンババも僕に向かってそう言うので、
どうやら僕は煙であるようだった。


この書き出しだけで痺れた。
コイツバカだーーーーーーー!


作者の前作『土か煙か食べ物』に登場し、主人公よりも先に謎を解いて先回りし、行く先々に現れたけど、アッサリ殺されてて結局なんの謎解きも披露しないまま物語から退場した「名探偵」ことルンババを主役としたスピンオフストーリー。でもなんとなく「作劇」に一切束縛されず、ストーリーになんの貢献もせず、ただ無意味に「名探偵」であることだけを披露したこのキャラクターが作者の偏愛を受けていることは前作から十分に感じられた。


ミステリとしては強引過ぎるし、別に謎解きが物語りの主眼ではない。じゃあ何が主眼なのかと言われれば答えに困る作品ではある。前作同様、わけのわからない文章の疾走感を楽しむのが、一番健全な読み方かしら。