えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『隠蔽操作』今野敏
東大卒のバリバリの警察官僚(キャリア)であり、選良意識に凝り固まった主人公。しかし彼は選ばれたエリートであるが故に国家を守るため身を捧げなければならないと信じる真の選良であった。周囲からは「変人」扱いされるキャリアは警察組織全体を巻き込む不祥事の中で己の正義を貫けるのか?


吉川英司文学新人賞を受賞した今野敏の警察小説。市民が思い描く理想の官僚、選良のあるべき姿を通して、組織・社会の中で筋を通すことの普遍的な難しさが描かれている。というと難しそうだが、朴念仁たる主人公が、それ故に悩みながらも己を貫き、それが人から信頼される姿は読んでいて痛快でもあった。


続編も出ているらしいのでそちらも読んでみよう。こうして続編が読みたくなるってことは、つまりキャラクターが魅力的に描かれているってこと。オタク文化にも造詣の深い今野氏だけに、やはり「キャラクター」の魅せ方は上手いと思う。