えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『ロリヰタ』(著:嶽本野ばら)

文庫本の解説より


これは高橋源一郎氏が『ロリヰタ』の寄せた解説の一節です。
小学6年生の姪を預かった時のエピソードだそうです。


次の日、ぼくは仕事があったので、妻がさくらちゃんを連れて、原宿にお買い物に出かけました。そして、帰宅した妻がえらく興奮しているのです。なんと、原宿を歩いていたら、さくらちゃんがモデルの事務所にスカウトされたというのです。
「でも、怪しいところじゃないの?」
 ぼくたちはさっそく、もらった名刺に書いてあった事務所をインターネットで調べてみました。なんと、怪しいどころか、大手の有名モデル事務所だったのです。
「こりゃ、すごい」ぼくは興奮して言いました。さくらちゃんも満更ではないようです。でも、モデルになんかなりたくないのでしょうか。そこで、ぼくは、この質問をぶつけてみたのです。
「ねぇ、さくらちゃん。将来、なにになりたいの?」
さくらちゃんは、一瞬、考え深い表情になり、空中を見つめ、それからはっきりとこう答えたのでした。
「『モーニング娘。』の加護ちゃん!」


加護ちゃんの事件が、こういう誰かの中の物語を閉ざしてしまったことは、やはり傷ましいことなのでした。私は、加護ちゃんよりも大人な人たちは、加護ちゃんのことを慮ってあげるべきだと考えています。だけど、それを加護ちゃんよりも年下の子に当てはめることはできないのです。

基本的に、大人(年上)は子供から慮られる存在ではなく、見上げられ、憧れられる存在であることを志向するのが、人の健全なありようだと思うので。