『君の手がささやいている』
菅野美穂が主演でドラマにもなった『君の手がささやいている』という手話と聴覚障害を題材としたコミックがあります。
その中で聴覚障害を持つ主人公がマンガ表現の中の星が輝く「キラ キラ」という擬態語を見て、夜空には星が「キラッキラッ」という音をたてて瞬いているのだと小さい頃は信じていたんだと語って聞かせるエピソードがあります。
私はこのエピソードがすごく好きでしてね。
耳が聴こえる人の世界と、耳が聴こえない人の世界は当然違う姿をしています。一人の人と人としてあい対した時に、その2つの主観的世界は等価です。だけど私たちは、圧倒的多数派に属して普段生きている私たちは、その両者が共に価値があるのだということをつい忘れてしまうのです。
そういうことを、実にささやかな美しさで気づかせてくれるエピソードだと思うのです。