えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

『君に届け』(椎名軽穂:著)

先日の『矢口ひとり』のブックエンタのコーナーで、ポスト『ハチクロ』、ポスト『のだめ』として紹介されていた少女漫画『君に届け』を3巻まで読みました。番組で紹介してたオジサンが2巻で大泣きしちゃったという話をしてて興味を惹かれたんですけど、確かに面白かったです。


本作ではその風貌から「貞子」とあだ名されてクラスメートから避けられている女子高生・黒沼爽子が、徐々に周囲に理解され、友達を作ってゆく様が描かれています。


少女漫画らしくまずは貞子を理解してくれる憧れの男子・風早クンが現れるんだけど、決して貞子はこの風早クンが周囲ととりなしてくれるのを待っているわけではありません。貞子はいつだってみんなに溶け込もうと努力しているし、前向きなんですね。ただ感覚がズレまくってるから上手くいかないだけで…。2巻で貞子は悪意ある誤解に巻きこまれるんだけど、風早クンは「ここは本人がなんとかしなくちゃいけない場面だ」と判断して、助けに行きたいのをグッと我慢して、「がんばれがんばれ」って心の中で祈りながら見守るんですね。


少女漫画には「憧れの君に助けられてハッピーエンド」という展開が多いし、実際それはマンガとしては絵になるんだけど、でもなんか他力本願というか、女の子側からも男の側からも都合の良い展開にずっと思えてて。こんな風に相手が自分で解決できことを信じて見守るというのは、本当に相手のことを尊重し、信頼していないとできないことだと思えました。


そんな風に、根本的なところで作者に男に対する甘えがないからこそ、逆に貞子がホントに健気で愛しく思えるんでしょうね。いや、ぶっちゃけこれまで見た二次元キャラの中で一番かわいいと思いましたわ。それもなんつーか、いわゆる「かわいい」決めシーンだけじゃなくて、こんなマヌケなところもいいんだ、こんなズレたところもかわいいんだと、彼女のいろんな面を誰かれかまわず紹介したくなるような感じ。山ほど画像を貼って紹介して、みんなに彼女を好きになって欲しって思うようなかわいさなんです。


あと個人的には 貞子と友人が遊んでいるところで、その友人が貞子が好意を抱いている風早クンを一緒に遊ぼうと呼び出して、風早クンも貞子を憎からず思っているから自転車をこいでかけつけるってシーンがあるんですけど、これがねー。ほんとなんてことない日常の場面なんだけどさ、私もバッチリ同じシチュエーションを経験したことがあったので、久しぶりに恋愛回路が開いちゃいましたわ。