えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。


「わたしはきみがうらやましいよ。きみは大人の女性と可能なのだろう」
和則はうなづいた。
(中略)
「いつも人に聞かれるよ。結婚はしないんですか。先生は遊び人だから、独身主義なんでしょうとね。大人の女性と恋をして、セックスができたらどれほど素晴らしいことか。だが、何度も試してみたが、わたしにはできなかった。どうしてもできないんだ」
最後は搾り出す声になった。返事は必要ないだろう。和則は黙っていた。
「厳しい競争を勝ち抜き、地位も名誉も金もある。若い女などいくらでも手にいれられる。しかし、そんなものはぜんぜんほしくならないんだ。毒の海に浮かんで乾き死ぬようなものだぞ。どこかに神がいるなら、わたしはそいつに文句を言ってやりたい」
−−石田衣良『LAST』より−−



とりあえず、くだんの事件に犯罪性があったのかどうかはともかく、極楽の山本は15歳時の松浦さんや最近のBerryz工房を推していたそうなんだけど、それは肉欲を伴う感情だったのだろうか? どういった対象に対し性的な刺激を感じるかというのは、人によって様々なバリエーションがあって、しかも一度条件付けされてしまうと当人ですらそれを任意に変更はできない。それが社会的に許されないパターンであった場合、あるいは容易には相手がみつからないパターンであった場合、それはひたすら不幸だ。


ちなみに私の対象は長らくこの世界には存在しないものだと思っていた。だけど私はそれを存在することを知った。そしてそれを失った。今、私の渇望はその実在を知らなかった頃よりも激しい。