えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

tk-mokami2006-04-17


今年の仮面ライダー仮面ライダーカブト』は「クロックアップ」という演出要素がなかなか面白い。


この作品における「クロックアップ」とは仮面ライダーと敵怪人に与えられた特殊能力のことで、通常の人間には知覚できないほどの超高速での行動が可能となることを指す。これが映像的にどう演出されているかと言うと、ライダーたちがクロックアップに突入すると周囲のすべてが静止状態(すごーくゆっくりと動いてはいる)となるのだ。


今回のライダーは毎回この設定を利用した演出がなかなか凝っている。高速道路を走る車がピタリと止まり、その車上を飛び移りながら戦ったり、超スローモーションで背後から電車が迫る線路上で戦ったり。そして「クロックオーバー」というアラーム音声と同時にクロックアップが解除されて、一斉に世界は動き出す。その変化が映像的には面白いのだ。先の例で言えば「怪人がやられて爆発した直後に世界が動き出して電車が走り去ってゆく」というように。


ちなみに今回の「ライダーキック」はこれまでのジャンプキックではなく、振り向きざまの上段回し蹴りとなっている。「蹴る」というよりは「斬り捨てる」という感じだ。おそらくはこれもこのクロックアップ演出と平行して決定されたのだろう。相手に背中を向けて待ち構える「静」の状態から刹那の交錯で相手を斬り捨てる「動」、そのまま1回転して再び残心の「静」へ。そして怪人の爆発と共に一斉に時が動き出す「動」。時代劇の殺陣のような静と動の対比を、クロックアップという要素を加えることでさらに強調した形なのである。


今週のクロックアップは「舞い散る桜吹雪の中の戦闘」というシチュエーションだった。それまで降りしきっていた花吹雪がクロックアップ発動と共にピタリと止まり、その静止世界の中で唯一動き激しく戦うカブトと怪人。空中で無数の花びらが静止している中で闘うことで、「止まった時間」が否が応にも強調される。そして刹那の交錯から怪人を倒し、ライダーが画面に背中を向けて「キメ」ている中で、怪人の爆発と共に、まるで「ザァッ」という音でも聞こえてきそうな感じで一斉に静止していた花びらが落ちだすのである。これは非常にキレがあり、そして情緒すら感じる美しいシーンであった。


今年のライダーはキャラクター造形とその見せ方にはクセがあって賛否は分かれるかもしれないけど、映像面ではかなり頑張ってるんじゃないかな。



PS
あと、今回のライダーのヘルメットのデザインは横から見た時に非常に美しい良いデザインであると思います。演出面でもそれをうまく活かしていると思う。