えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

誰が“在日”を悪役にしたか

本朝鮮会館への固定資産税等免除措置に関し福岡高裁が出した判決…すなわち「公共性は認められないからちゃんと税金払いなさい」…に対し、朝鮮総連


私たち在日朝鮮人は先の植民地時代に強制連行等で日本に移住させられた当事者とその子孫であり、いまわしい過去が速やかに清算されて安定した法的地位が保障されるべき


とのコメントを出したそうです(朝鮮新報)。


こう書かれるとあたかも在日朝鮮・韓国人のほとんどが「強制連行」によって日本に連れて来られた人であるかのように錯覚してしまいますが、実際にはそれは在日朝鮮・韓国人の方々の一部に過ぎません。それは半島在住者への徴用の開始が終戦直前の1944年の9月であったことからも推察できますし、なにより1988年2月に発刊された在日韓国人自身による在日一世からの聞き取り調査結果(「アボジ聞かせて あの日のことを “我々の歴史を取り戻す運動”報告書」)でも、渡日の理由として「徴兵・徴用」を上げたのは全体の13.3%に過ぎず、それ以外は経済上の理由など自らの意志での渡日であったという回答結果が出ています(もっともこの13.3%の回答者の中には徴用令以前に渡日したと答えていて矛盾している人も多いという話ですが、そのあたりは正確な数もわかりませんし、ツッコみ出すとキリがないのでここではこの韓国人自身による資料からは徴用の被害者は「最大でも13.3%」と言える、ということを前提にします)。こうして見ると「在日朝鮮・韓国人のほとんどが強制連行の被害者」というイメージが実情とはかなり異なっているものであることに気づきます。


ここで注目すべきは朝鮮総連が「在日の総意」であるかのようこのように語ることによって、自らの意志で渡日した多くの人が、あたかも自らの出自を隠し、日本人に対して嘘をついているかのような印象を与えてしまっている点です。事実、脊髄反射的な「これだから朝鮮人は」「また嘘つきやがって」的な発言もネットではチラチラみかけます。しかし、先の調査の回答の通り在日の人たち自身が自らの経歴を偽っているわけでも、卑下しているわけでもありません。おそらくは被害者権益とでも言うべきものを得るごく一部の人間が、自分たちの権益を守るために、あるいは拡大するために、一部の徴用の被害者の存在を利用しているのでしょう。このようにあたかも全員が被害者であるかのように日本国民(あるいは自国民までも)をミスリードに導き、そしてその被害者としてのイメージを利用しようとしているのです。


しかし、ネットなどによって多角的に情報を得ることのできるようになった現代社会においては、このような一部の人間によるイメージ操作工作はもはや通用せず、むしろ在日朝鮮・韓国人全体に対するイメージを悪化させるものにしかなりません。このように徴用の実態をいたずらに不鮮明にすることで、実際の被害者への現実的な対応が着手しづらいものになることは想像に難くなく、そうなって一番の不利益をこうむるのは他ならぬ徴用の被害者でしょう。そもそも朝鮮会館が規定通りの税金を払ったところで、真面目に働いているごく普通の在日の人たちは多分何も困らないと思うのです。むしろそんなことで嘘つきと思われたり、悪いイメージを持たれることの方がよほど迷惑なのではないでしょうか? 


誰が「ネット右翼」に“在日叩き”の動機を与えているのか。
誰が在日を悪役にしているのか。
両国民間の感情的な対立を払拭するためにも
もう一度考えてみる必要があると思います。