えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

カラオケコン(ネガ)

私自身は今回のエルダークラブは素直に楽しめました。それは昨日まで書いてきたように、各メンバーの持ち味を活かしオリジナルを凌駕する部分を設けることで カラオケ演目に対価を払うだけの商品価値が付与されていたからです。その点ではこれまでのカラオケコンに比べれば随分と改善されているように思えましたし、スタッフの苦心も窺えました。しかしやはり根本的にはカラオケ演目には賛成できません。その理由の一つは不親切さにあります。ハロコンは顔見せ興行的な意味もあります。例えばメロン記念日前田有紀はここでしか見ないという客もいるでしょう。なのにそこでバラバラの組み合わせで他人の歌を歌っていたんじゃそもそもどんなグループなのかが伝わりません。極論すればこの1〜2年でハロプロファンになった人は前田有紀が演歌歌手であることすら知らない可能性もあるわけです。つまりカラオケ演目では何が彼女たちの本流なのかが客に伝わらない。また今回は4年以上前の曲が何の説明もなしに歌われている場面も目立ちました。『GoodMorning』なんて7年前ですよ。新規の客は完全においてけぼりです。

(あるいは新規ファンと古参ファンで受け取る情報量の格差があり過ぎると言い換えてもいいでしょう。元々あるその格差を是正するどころかますます広げるようなことをしている)




本来ならば、カラオケ演目とはこのように顔見世興行としては不都合なことが多いハズなのです。なのにどうも界隈を見渡してもエルダークラブのそれに対する拒絶反応は薄いように思えます。私自身も「まぁいいか」という気持ちの方が大きい。それはなぜか。恐らくは、ほとんどの人がエルダークラブのコンサートに新規の客などいないと思っているからではないでしょうか
(実際そうなんだろうと思います。新規の客は0ではないかもしれないけれどほとんどいないでしょう)。このエルダーなメンバーはついているファンもみな年期が入っていて、説明されなくても前田有紀が演歌歌手であることを知っていますし、『Good Morning』や『聖なる鐘が響く夜』を知っているような人ばかりなのです。




つまり今回のエルダークラブは「新規顧客はいない、内向きのもの」と割り切ったことで可能となった構成だとも言えます。ターゲットを絞ったことで顧客満足を狙いやすくはなっています。実際に私がこれだけ楽しめたのですからそれはそれで一つの成功なのでしょう。だけど、です。送り手にはそれを悔しいと感じる感性を持っていて欲しいのです。「新規の客はいない」を前提にしているということは、後藤真希が/安倍なつみが/保田圭が/飯田圭織が、モーニング娘。を卒業してからただの一人も新しい客をつかんでいないということを前提にしているということと同義じゃないですか。それが事実なのだとしたら、送り手側はそのことを恥じ、反省し発奮する感性を持っていて欲しいのです。でなければ、この閉塞状況からの脱却はあり得ないのですから。



私がカラオケコンに対して持つ嫌悪感の一つは、どうもその「新規の客がいない」ということに対してあっけらかんと開き直っているような印象を受けるからなのです。そりゃ新規ファンを獲得しなくても
少数の客に生写真を売りつけていれば採算は取れるのかもしれませんよ? でも私は「後藤真希」の可能性をそんな小さな商売に留めておいて欲しくはないのです。




もちろんこれだけユニットもファンも多彩な現状ですべての人を100%満足させることは不可能なのだとはわかっています。オリジナルソングである時化たバラードを歌うよりは
例えカラオケ演目でも盛り上がる曲を歌った方が適切な場面もあるでしょう。またコンサスタッフははなから「新規ファンがいない」という状況を初期条件として押し付けられているのでしょうから感覚に齟齬ができるのは仕方がない面もあるかと思います。ただあくまでカラオケは正攻法ができない時の次善策なんだという意識はどこかに持っていて欲しいと思っています。





あと思い入れ的な要素で一つだけ言わせてもらうと、例えば

I&YOU&I&YOU&I / 石川・亀井・矢島・村上

という演目では、ネガティブな感情を持たないためには 旧タンポポファンは石川さんに意識を集中するしかないわけです。つまり他の3人が視界から除外される。そんな状況が3人にとってプラスなわけはない。せっかく固定ファン以外の人に見てもらえる限られたチャンスなんだからたくさんの人に見てもらえる方がいいに決まってる。そういう意味でもこういう無神経な選曲はカラオケ演目の中でも特に良くないと思っています。こっちの心情に関してはもうグダグダ言わないって決めたし、別にそこを思いやって欲しいわけではない。だけど、若いメンバーたちのプロモーションとして稚拙なのは問題でしょう。彼女たちはハロプロの未来であり希望なんだから。要するにちゃんと仕事しろって話。





ただ一方で通常の構成が難しくなってるのもわかってる。これまではとりあえずモーニング娘。を大トリにもってくれば大団円感を出すことができたけど、今はそういう絶対性が薄れて数多くあるユニットの一つになってしまったから。だからカラオケ演目が必要なんだってんならもっと巧くやって欲しい。あとコントやMCが減って全体のテンポが良くなったという点は最近の傾向の中では喜ばしいことだと思っています。そのへんは昔の方がよっぽどひどかった。伝説のマット運動とか……。ヲタじゃない友達を連れて行けたもんじゃなかった。